アンスリウム
もゅ。
プロローグ
遊びだったんだろう。
元からきっとそうだった。
好きじゃない。嫌い。どちらかと言えばそう。
でも依存した。
別れれば良いじゃん、そう言われた。
それが出来ていればどれだけ楽なことか。
それが、それが出来ていれば、今どれだけ幸せだったことか。
『お前、ウザい。正直。重いし』
そう言われ、彼氏には捨てられた。
最後に1回、体だけ繋がった。
でもそれに愛なんて綺麗なものは1つもなくて、ただ満足感を得るためだけの行為。
認めたくないが、彼氏の行為の腕は良い方だった。
だから依存したのかもしれない。
薄っぺらの理由。
大人の遊戯、と言うやつだろうか。
高校生がこんなことするものじゃないだろう。もっと大人の段階とやらが必要な筈だ。
でもそれをすっ飛ばした代償は大きかったらしい。
私は所詮、体目当てだったんだ。
振られるんじゃない、捨てられた。
そう認識して、彼氏との関係は終わった。
もう一度、恋をしたい。そう思っていた。
でも今まで経験したのは淡いも儚いもクソもない、汚いドロドロの独占欲で包んだような恋愛。
私を愛して欲しい。尽きない愛を注いで欲しい。私だけ見てて欲しい。私を欲して。私をもっと満たして。他の人に好きなんて言わないで欲しい。私から離れないで欲しい。欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい。
こんな欲の塊みたいな私でも、愛して欲しい
もし、私を嫌いになったら、その時は、
人が耳を塞ぐくらいの言葉で私を罵倒して欲しい。思い切りの暴力を振るって、殴って蹴って、貶して、捨てて欲しい。
そしたらきっと私はあなたを忘れられる。
そうでもしなきゃ依存しちゃう。
好きになった人にはいつもそれを思い続けている。
でも振る時にいつも相手は言う。
『ごめんね、本当にごめん』
と。
そんな優しい言葉を書けないで欲しい。
離れたく無くなっちゃうじゃん。
だから私はもう恋愛をしない。
相手も傷つくし、それ以上に自分が傷つく。
そう、決めてたのに。
決めてたのにっ……………。
8月の初旬。クーラーもつけていない湿気と暑さにやられそうなくらい蒸し暑い部屋で。
私はただ泣いている。
まさかこんなことになるなんて思わなかった。
知らない。こんなのはなにかの勘違い。
だと思っても勝手に溢れる涙に腹が立つ。
「っ、、好きだっ、、、、」
嗚咽を殺して精一杯絞り出したその言葉は、紛れもない好意だった。
風が吹いていない筈の部屋の中で、花瓶に刺さるアンスリウムが揺れた気がした。
アンスリウム もゅ。 @1204-600444
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アンスリウムの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます