第19話 爀者
「………………………………………え?」
執刀医たちの頭が宙に舞い上がり、鮮血の噴水が肉塊様の姿を隠しました。全身に飛来した生暖かい血液と、鼻から脳天につきぬけるような鉄臭さを感じてなお、少女はフリーズしてその場にへたりこんでしまいます。
執刀医たちの胴体は、二秒ほどその場でタップダンスをして順に倒れていきました。次第に弱まっていった鮮血の噴水の中に、少女は小さな殺人鬼を見出します。
それは、少女と背丈が変わらない、小さな小さな殺人鬼。被験体Xと呼ばれ、秘密裏な人体実験を受けた不幸な殺人鬼。潰れた四肢ですら、失った臓器ですら再生する醜悪な殺人鬼。
――その両眼が、マグマのように赤く輝いている殺人鬼。
やがてオーガット史上最大最悪の連続殺人事件を起こす彼のことは、当時のオーガット軍部から畏怖を表してこう呼ばれるようになりました。
【右眼に赤い憎悪の火を、左眼に赤い絶望の火を
――――ああ、なんということだ! ワタシったら、勢いあまってタイトル回収までしてしまった!
まだまだ序盤なのに! 最終盤で過剰演出気味にするやつなのに!
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