第33話

次第に江藤くんのことを知っていって、胸がなんだか妙な動きをし始めて。



そして今、こうして会話できていることがすごく嬉しい。



「俺、サッカー頑張るから。応援しに来てくれよ」



そう言って江藤くんがズボンのポケットから取り出したのは、練習試合の日程表だった。



「これって……」



「緑川に来てほしくて、部員に配られたものをコピーしてきた」



あたしのため?



ドキンッと心臓が高鳴った。



そのまま早鐘を打ち始める。



そ、それって特別ってこと?



と聞く前に教室のドアが開いて数学の先生が入ってきた。



肝心なことが聞けなくて、あたしはキュッと唇をかみ締めたのだった。

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