第4話 二十四日目



 二十四日目。


 なんか見覚えがあるような顔だなと思ったら、あの時の男の子だったとはね。


 婚約者と子供の頃で会ってたなんて、まるで乙女ゲームみたいなイベントだ。


 そんな事そうそうあるわけないって思ってたから、考えもしなかった。


 とすると、彼がやけにすねてるのは、私に忘れられたと思ってるから?


 なにそれ、子供っぽい。


 男ならもうちょっと器の大きいところを見せないと駄目じゃん。


 そんなんじゃ減点だね。


 まあ、あの時からずっと一途にって部分は結構ポイント高いけど。


 何もそんな小さな事ですねなくてもいいのにさ。


 はぁ、会うたびに「お前は俺にふさわしくない」だの「お前なんか捨ててやる」だと言ってくるのがうっとおしいよ。


 かまってちゃんなの?。


 どうしても、素直になれない性格なの?


 でもあれでも一応優しいところはあるんだよね。


 このあいだ車の近くで転んだ女の子をわざわざ助けるために、運転手にとめさせてたしさ。


 うーん、本当に婚約破棄に応じたら、どんな顔するんだろう。


 さすがにそれは可哀そうすぎるかな。


 忘れていたのは私が悪いし。


 でも、素直に謝るのはなんだかしゃくだしな。


 ほんとこの面倒くさい婚約者どうしよう。


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