第3話 十七日目



 十七日目。


 憤慨だ。


 俺は怒っている。


 だからふぃあんせを、婚約破棄してやった。


 やっと婚約者として、べたべた出来ると思ったのに。


 相手は俺の事、まるで眼中にないだと!


 いっつもいっつも興味なさそうな顔してる。


 ふざけるな。


 ちくしょう。


 俺がどんだけお前の事好きだと思ってるんだよ!


 めっちゃ好きなんだぞ、こんちくしょう。


 今まで清いお付き合いをするために、わざと距離を置いてずっと我慢してたのに、そこからの仕打ちがこれだ。


 ここにきてゴーサインが出たから、お話したり手を握ったり、あわよくばくっ、口づけとかしちゃったり、できると思ったのに。


 なんで、なんとも思ってないみたいな顔してるんだよ。


 まっ、まさか俺の事、忘れちゃったのか!?


 数年前の嵐の夜、お前の誕生日パーティーに出席した俺は、ちょっとのつもりで外に出た。


 けれど、暗くて、帰り道が分からなくなってパニックになってたんだ。


 そうこうしているうちに、雨が降ってきて、風が強くなって、嵐になってしまった。


 寒くなって死にそうな思いをして、大変だったんだけど、そこをお前が探しに来てくれたんじゃないかっ!


 何で、そんな人生の中でけっこう重要そうなイベントを覚えてないんだよ!


 お前の記憶力どうなってんだ。


 出会ったら、うんと優しくしてやろうと思ってのに。


 やーめた。


 思い出してくれるまで、優しくなんてしてやらないからなっ!


 これは正当な罰だ。


 てっていてきにイジメてやる!


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