避けられてる

 七海朝日side


 私はベッドの上で仰向けになって、スマートフォン持ち上げる。


 今日も転校生からのメッセージはない、か……。


 腕を横に倒し、天井を仰ぎ見る。


 ここ最近のことが思い浮かぶ。


 学校で話しかけたら、トイレと言って逃げられた。


 学校で話しかけたら、教室を出て帰ってこなかった。


 学校で話しかけたら、ごめん、と去っていった。


 今日も同じように、避けられた。


 そう避けられた。避けられてる。


「なんでぇ〜」


 明らかに避けられてる。


 私、転校生に対して、何か悪いことした?


 ……いやまあ、素の私のノリを受け続けたら倦厭たる気持ちが育まれてもおかしくないけど。


 でも、多分、そういうのじゃない気がする。


 この二日は、アホ三人組ともちょっと距離を置いてるようにも見えるし、あの蒼美鶴も転校生に寄ってきていないし。


 転校生に何があったのだろう。


 わからない。でもこのままだと、二度と転校生と接することができなくなるのは、わかる。


 ……嫌だ。


 ゲームセンター、デート、放課後の公園。どの思い出も楽しかった。憂うことなく冗談が言えて、それを笑ってくれて、ほんのしたことでドキドキして。


 好きなんだ。心の底から好きなんだ。


 もっと触れ合いたい。


 あざとく迫りたい。


 素の私で転校生と一緒にいたい。


 だけどこのままだと、願いは叶わない。


 嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


 乾ききった喉を潤す水を欲するような焦りに似た感情に見舞われる。


 転校生の暖かさに飢える。


 願望が抑えられなくなる。


 そして冷静な心が消え失せていった。


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