thursday21:30


 thursday21:30。ベッドの上のアナログ時計を見た後、布団をかけて目を閉じる。


 球技大会の前日、最後の練習は4人で行った。


 池からは「初日の10倍良くなった」と言われ、


 川合からは「完全に戦力だ」と言われ、


 海原からは「本気で優勝狙えるよ」と言われた。


 だから意識してしまう。優勝したあとのことを。


 俺は七海さんに学校で話しかける勇気をもらえる。美鶴だって同じ、話しかけても、外野に疎ましく思われることもなくなるだろう。屋敷先輩なんかは、友達になってくれる約束までしている。


『あんたみたいな友達もいない陰キャが話しかけてこないで!』


 あのとき覚えた悔しさが蘇る。


 篤い友情を感じていた人から、友達になる資格はない、そうハッキリ拒否された。そんな自分が惨めに思えて、どうしようもなく悔しくて仕方がなかった。今も思い出してしまうくらいには、衝撃が大きかった。


 明日、優勝することが出来れば、そして有名人と友達になれれば、下北を見返すことができる。


 ……頑張ろう。


 俺は決意を固め、眠りについた。



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