第16話 相談
「お兄ちゃん、ちょっといいかな」
そういって部屋に入ってきたユウは話たいことがあると言う。
二人だけでというのでノエラ達メイドは外に出てもらう。
「実はね…」
そう言って切り出したユウの話の内容は転生前に神様との話だった。
「そうだったのか…」
「うん。ごめんね。今まで黙ってて」
「いや、いいよ。ユウが言わなかったのも神様が言わなかったのもわかるよ」
「ありがとう。お兄ちゃん」
「いや…。それで?何かあったから話そうと思ったんだろう?なにか異変があったの?」
「ううん、特には」
「あれ?ないの?」
「うん。ただこないだ王都を見て周った時、冒険者の話が出たじゃない?」
冒険者。日本でアニメやマンガ、ゲームにでてくるような設定とこの世界でもほぼ同じだ。
各国に冒険者ギルドがありA~FとSのランクがありSランクが最高ランクで
Aランク以上の冒険者ともなれば貴重で身分の保証がされ他国への入国もしやすくなる。
仕事の内容は魔獣の討伐、遺跡探索、商人の護衛等だ。
正直、憧れる。
世界中を見て周るのも楽しそうだ。
「うん。それで?」
「その時思いついたんだけど、私が思うに世界のどこかで異変が起こったとしてもほいほい簡単にはいけないと思うのよね。なんたって私とお兄ちゃんはこの国の魔王子様に魔王女様だし」
「確かに」
「そこで冒険者になってランクを上げておけば多少は他国へと行きやすいと思うの。戦闘の経験も積めるし。御金も稼げるわ。冒険者をしながら世界の異変を正し悪党退治をして世直しする。魔王子様の世直しってわけね」
「どこの黄門様?でも、なるほどね。でもユウは怖くないのか?魔獣と戦うことやバカ神の手先と戦うことが」
「そりゃ怖いけど、お兄ちゃんがいるし。この世界が滅ぶかもしれないとあっちゃなにもしないわけにもいかないでしょ?お兄ちゃんだってそう思ってるんでしょ?」
「まぁね」
妹もいるこの世界が滅ぼされるとなれば流石になにもしないわけにはいかない。
「とはいえ今はなにもわからないからね。12歳になったら冒険者登録ができるからそれまでは頑張って力をつけましょう」
「つまり今しばらくは今まで通りにするってことか」
「そうね。魔法の訓練をして体力もつけなくちゃね。あとは私とイチャイチャしましょう!」
「ハイハイ。ユウは可愛いなー」
「ブゥ~。愛がこもってな~い」
こういうところは昔から変わらないな。
なんだかホッコリする。
「それで?ほかになにか準備しておくことはないのか?」
「そうね…私も冒険者になって他国にいけるようになるまで御金を稼いでいい装備をそろえましょう。お父さん達に頼めば御金は用意してくれるだろうけど何もかも頼るのもね」
「そうだな。大袈裟なもの渡されそうだし」
「神を相手にするには大袈裟なくらいがちょうどいいかもだけどね。あとはそうね…流石に私達二人だけじゃ心許無いわ。神を相手にする時はともかく冒険者として活動するにしても二人じゃ限界があるわ。ノエラやセバストは連れて行っていいだろうけど、セバスンはダメだろうし」
「仲間を見つけるってことね。できるだけ強い、信頼のできる人で」
「そうね。ああ、できるだけ女の子を集めましょう」
「うん?どうして?」
「それは私の計画…ンンッ ほら冒険者として活動するなら寝泊まりも一緒になるだろうし、そこに男が多いと可愛い女の子としては身に不安が、ね?」
もっともな言い分だけども
「なにか隠してない?」
「な、ナニも隠してないよ?」
あからさまに怪しいけど…まあいいか。
ユウの事だ、悪い事ではないだろう。
「じゃあ、あとの問題は御金の稼ぎ方だな。なにかアイディアがあるのか?」
「私は引き続きシルヴィさんの御店に服のデザインを提出してアイディア料をもらうわ。お兄ちゃんも魔法道具のアイディアを出してステファニアさんに作ってもらえばいいと思うわ。魔法付与を手伝ってもいいけどあまり本格的にやると他の事する時間がなくなっちゃうしね」
「そうだな。一番の目的は幸せになることだしな。何も起こらないかもしれないんだし。ほどほどに頑張っていくか」
「おー!」
と、ボク達の幸せになるための相談はまとまったのだった。
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