第11話 使用人達 2

 私の名前はノエラと言います。

 父のセバスンと兄のセバストと共にエルムバーン魔王家に仕え

 メイドとして働いております。

 

 また私はサキュバスでして

 同じサキュバスであるエリザ様にサキュバスとしての力の使い方を学んだ事もあります。

 

 そして御世継ぎであるジュン様とその妹であるユウ様が御生まれになり

 私と兄はジュン様とユウ様付きのメイドと執事になる事が決まりました。

 

「つまり二人が将来、執事長とメイド長になるのよ。頑張ってね」


「「はい」」

 

 光栄な事です。

 

「ジュンとユウの教育も手伝ってもらうことになるわ。私が中心になって夫にも手伝ってもらうけどそのつもりでお願いね。特にノエラは私とユウと同じサキュバス。頑張ってね」


「「誠心誠意、努めさせて頂きます」」 

  

 ユウ様にサキュバスの力の使い方を私も教える、とゆうことでしょう。

 ジュン様に、そういうことを教えるという事ではないでしょう。

 私は構わない、というより大歓迎、望むところなのですが。

 

 そうして御二人の御世話をする日々が始まったのですが

 御二人は実に手の掛からない賢い御子で御世話することがあまりありません。

 

 ユウ様はまだ生まれて間もないのですることはあるのですが

 夜泣きしたりしませんし、やたらと泣き叫んだりもしません。

 時折、私をジッと見つめておられる気がしてそこはとても気になるのですが。

 

 ジュン様に至っては手が掛からないどころか私達の仕事を手伝おうとされます。

 それが困ると言えば困るのですが奥様も特に止めたりしませんし、その御姿は非常に愛らしく他のメイド達の間でも人気になっています。

 

 ジュン様はまだ幼いのもあるのでしょうが一見、女の子にみれる可愛らしい容姿をされており、非常に将来が楽しみです。ウフフ…ジュルリ。

 

「ノエラ、どうしたの?涎でてるよ」

 

 おっと、いけません。失態です。

 

「失礼しました。ところでジュン様。御風呂の御時間です。参りましょう」


「あ、うん。ボクは一人で入るから。ノエラはユウをお願いね」


「いいえ、ジュン様。ユウ様はエリザ様とお入りになりますので、ジュン様は私が御世話します」


「いや、でも…」

 

 フフフ、顔を赤くして照れているジュン様。可愛いです。

 そそります。

 

「おい、ノエラ。ジュン様はオレが…イヤナンデモナイ」 

 

 空気を読まない兄を目で黙らせます。

 さぁ、これで…


「あ、お父さん!」


「ん?」


「お父さん、一緒に御風呂に入ろ!」


「お?そうかお父さんと入りたいか。じゃあいくか!」

 

 くっ、さすがに魔王様が相手では…

 と、普通のメイドなら引くでしょう。

 しかし私は引きません。

 

「いいえ、魔王様。ジュン様の御世話は私が」


「いや、かまわん。ジュンはわしが入れよう」


「そうですか・・・わかりました」


「うむ。じゃあ行くかジュン」


「はい、ちちう…」


「私も入ります」

 

「「「え?」」」


「私も入ります」

 

 魔王様とジュン様とついでに兄も驚いているようです。

 フフ…引きません。私は引きませんよ!

 

「「「なんで?」」」


「メイドだからです」 

 

 みなさん黙ってしまいましたね。

 どうやら納得して頂けたようです。

 

「では参りましょう」

 

 フフフ…勝利です。

 あら? 


「ノエラ、待ちなさい」


「お父様…」

 

 お父様が現れました。

 どうやらずっと見てたようです。

 

「ノエラ。お忙しい魔王様の家族との時間を邪魔してはなりません。ましてや魔王様がジュン様は御自分が入れると申されたのです。弁えなさい」


「はい…申し訳ありません」

 

 チッ 流石にこれ以上はダメですか。

 ここは引きましょう。

 

「魔王様、ジュン様。失礼しました」


「失礼しました」 

 

 まあいいです。

 御風呂の時間は今日だけではありません。

 ウフフフ…

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