第6話 陰キャが告白されるのって...

別日、昼休み、教室


アオ「『放課後、体育館裏で待つ。誰かより』?なんだこれ」

友「お前、シメられるぞ?」

アオ「え?俺なんかしたかなぁ」

友「大丈夫だって安心しろよ。骨は拾ってやっから」

アオ「それなら安心...いや、できるかぁ!」

友「案外、告白だったりしてな」

アオ「それが一番ねぇわw」

友「だなwその性格だもんなw」

アオ「少しは否定してくれ...」


放課後、体育館裏


アオ(そういえばあの手紙誰からだったんだろう...?まあ、すぐ分かるか)

そう思って待っていると、やってきたのはクラスの陽キャ女子の内の1人。シメられる訳ではなさそう。名前は確か...咲良(さくら)、だっけ?

咲「あのね...話が、あるんだ...」

アオ「急いでないし、ゆっくりでいいよ。」

咲「そっか。ごめんね、気使わせちゃって」

すると彼女は真っ直ぐこちらを見据えるとはっきりとこう言った

咲「私と付き合ってください!」

アオ「いいよ。どこまで行くの?」

咲「そうだけどそうじゃない!」

アオ「じゃあタイマン申し込みに...」

咲「それでもないから安心して」

アオ「それじゃぁ...まさか、交際の方?」

咲「そうよ。てかよくそこまで考えられたわね...」

アオ「真面目な話らしいし本気で答えないとな...」

これはめんどくさい事になった。これは恐らく罰ゲームってやつだろう。ったく、くだらねぇ。まあ、しょうがないしちょっと乗ってやるか。とはいえ交際は無理だし...

アオ「こんな僕と付き合って欲しいだなんて嬉しいお話ですが、もう既に''大事な人''がいるのでごめんなさい。でもこれからは''友達として''接してくれると嬉しいです」

咲「そっか、ありがとう!フってくれて。スッキリしたよ」

アオ「微妙な回答で申し訳ない...」

咲「いいって!気にすんなよ!で、早速だけど今度の休みどっか遊びに行かない?その''大事な人''も一緒に」

アオ「切り替え早くね?」

咲「もう友達だもんね?」

アオ「お、おう。で、明音もいいだろ?」

後ろを振り返る。やっぱり居た

明「...どうも」

咲「いっ、いつから」

アオ「初めから?」

明「...///」

アオ「図星か...」

咲「とりあえず3人でどこか行こ!やっぱり遊園地とかかな?」

明「いいんじゃない?」

アオ「異議なし」

咲「やったぁ!何乗ろっかなぁジェットコースターもいいし...ああー決まんない!でも最後は観覧車だよねー」

明「うんうん!わかるよその気持ち!」

咲「アオっちは?希望ある?」

アオ「んー...ジェットコースターと...あと、ウォータースライダーみたいなやつ?(あれ?呼び方...これが陽キャの普通なのか...)」

咲「あー、あれね。確かにあれもいいなぁ...日にちはとりあえず保留!後で送っとく」

2人「OK」


当日、明音目線


咲「っしゃー!きたぁ!今日は遊ぶぞー!」

明「おー!」

アオ「テンション高いな」

アオ君はなんかテンション低い。あんまり好きじゃないのかな?こういうところ

だが数分後、ジェットコースターにて。

アオ「あはははははっ!」

女性陣「きゃぁぁぁ!」

アオ君...スピードホリックなのか...

アオ「あー、たのしかった!」

咲「ここのやつ結構速いのよ...何度乗っても慣れないわ」

明「私もなれる気しないわ...」

アオ「そうだったんだ。俺は楽しかったけどな」

明「それはあんただけよ」

咲「ほんと仲良いのね」

明「そうかな」

アオ「そう思ってくれてるなら嬉しいよ」


咲良目線


最初はギクシャクしてたけどさりげなくアオが気を配ってくれたおかげでかなりすぐに仲良くなれた。アオはそれに加えて自分の意見ではなく周りを優先して考えてくれるしポロッと言ったことまで拾ってくれた。私がみんなでチュロス食べたいってこの前言ってたことも覚えててくれたし他にも沢山。その優しさに触れて自分がしている''最低なこと''もしっかり打ち明けて謝罪しないととも思った。

咲「アオっち!話しあんだけどちょっといい?」

アオ「いいけど、改まってどしたの?」

明「ちょっと外した方が良さそうね。飲み物でも買ってくるわ」

咲「ありがとう!...でね、アオっち。話なんだけどね...」

アオ「ベンチにでも座ろうよ。立ち話もあれだし」

そう言ってベンチに誘導して手に持っていたあれこれを置き、真面目に話を聞く気になってくれていた

咲「ごめんなさい!あれ、嘘告だったの」

アオ「うん、知ってたよ」

陽「え?いつから?」

アオ「最初から。そもそも君は僕に話しかけてくるような子じゃなかったし、それに特に僕から何かした覚えもないしね」

咲「そっか。じゃあなんでこれに付き合ってくれてるの?」

アオ「どうせやらないとハブられるとかあるんだろ?」

咲「なんでそれを?」

アオ「当たりか。君は優しいから断れなかったんだろうね。告白する時も1度も『好き』って言わなかったし、嘘つきたくなかったんだろ?それで察して遊びに誘いやすいように''友達として''よろしくって言ったんだ。あてが外れた時の保険ってのもあったけどね」

咲「そこまで...」

アオ「そろそろ明音も帰ってくるだろ。まあ、まだ時間あるんだし、もうちょっと付き合ってよ」

そう言って立ち上がり、笑顔を向けて手を差し出してきた

咲「...うん...///」

その手をとり、立ち上がる。

あーあ、落ちちゃった。



別日、昼休み、教室、明音目線


明「『放課後、校舎裏に来てください。大事な話があります。』か。」

友「おー!ラブレターじゃん!二股はダメだぞ」

明「そんなことしないわよ!でもほんとに大事な用事かもしれないし行くだけ行ってみるわ」

友「浮気すんなよー」

明「しねぇよ」(半ギレ)


放課後、校舎裏


明(やっぱイタズラか...乗らない方が良かったかもなぁ)

そう思いつつ待っていると男が1人よってきた。なんかチャラそうな人だ。どっかで見たような...気のせいか

チャ「あの...それで、話っていうのは...」

見た目にそわずモゴモゴしながら話し出す

明(男ならバシッと決めなさいよ!そういう人も嫌いじゃないけど)

なにせアオがそういうタイプだったからか、可愛いと思えてしまう。これじゃあほんとに浮気してるようだ

チャ「俺と付きあt」

明「ごめんなさい」

チャ「なんで!?」

明「彼氏持ちなんで。それじゃ。」

冷たく言い放ちその場を後にする...振りをして物陰に隠れる。独り言でも言ってくれれば本心暴けるんだけど...

チャ「...バレたっぽいな...」

明(カマかけたつもりだったけど当たりらしいわね)

まさかほんとに独り言で暴露とかいう漫画的展開に鉢合わせるとは...

チャ「明日どうしよ...」

明「やっぱりそういう事ね」

チャ「やべっ...いや、これにはワケが...」

明「そんなの聞いてない。誰にやれって言われたの?」

チャ「い、言うわけねーだろ」

明「誰?」(ガチトーン)

チャ「同じクラスのスクールカースト1番上のやつです」

明「そいつに電話かけられる?」

チャ「はい...」

プルルルル プルルルル


チャラ男目線


人の携帯かっさらって何する気だ?あいつに電話?ろくに話したこともなかったくせに...?

「もしもし?告白どうだった?」

明「ちょっと隙見せたら簡単にぼろ出してくれましたよ、彼」

「げっ...」

明「良くも悪くも彼って単純すぎません?」

「私は何も知らないわよ!」

明「~~~~~~~~」ボソボソ

「ヒッ...!」

明「ナメてっと(──🔫バキュ-ン)から」

プツッ プ-ッ プ-ッ プ-

明「はい、返すね。ありがと」

チャ「何言ったんだよ」

彼女は満面の笑みを返し、

明「知らない方がいいよ」

そしてすれ違いざまにこうつけ加えた

明「同じ目にあいたくなければね」

チャ「...ふぁい...」

見た目可愛いのにあんなにかっこいい立ち回りが...しかもその後の満面の笑みからの脅し。脚色しすぎかもしれないがこれがギャップ萌えってやつなのだろうか。

チャ「やべぇ...」

なにかに目覚めたことを自覚した瞬間だった。


その後、家


明「今日ね、告白されたの」

アオ「そうか。それで?」

明「...」

アオ「...」

明「反応それだけ?」

アオ「...そんなに驚くことでもないしな。だって姉ちゃんすごい可愛いし」

明「っ...!///」ボッ

アオ「で、その後は?」(¬_¬)

明「もちろん嘘告だったからこっぴどくやってやったわ!」

アオ「そうか...」

アオは意外とクールだったなぁ...ヤキモチ妬いてくれると思ったのに...

そう思いつつ部屋から出た直後。

アオ「良かった...」ボソッ

ヤキモチ妬いてくれてたんだ

その後明音は暫くご機嫌だった

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