第9話 傲慢の罪

優仁「そんなこんなできたわけですが...」

新宿某所ビル屋上。相手方の指定した場所。

バアル「いなくね?」

と、思っていたが、途端に高笑が響く

「素直に来たのね!褒めてあげるわ!」

出口のドアの上で少女と上裸の男と黒い馬がいた。犯罪臭がすごい

優仁「お前が傲慢の死神か?何の用だ」

バアル「キマリス!久しぶり〜!」

キマリス「我と盟友の御膳である。控えよ」

優仁「ねぇ、当たりきつくね?」コソッ

バアル「ま、まぁこんなもんだよ」コソッ

優仁「それで、わざわざ呼んだのはあんたか?」

鈴華「そうよ。私が傲慢の死神、鈴華.....」

優仁「あ、名乗ってくれるんだ」

鈴華「...あんたを殺す女の名よ」

優仁「わー物騒」

そう言うと、身の丈程もある大斧を出現させ、斬りかかって(と言うより殴りかかって)来る。

咄嗟に大鎌で受けるが、

優仁「重すぎっ!」

当然重量差で負ける。

何とか距離を取ってみるも

鈴華「ははっ!逃げてばっかり?所詮その程度なのね!」

優仁「言ってくれるねぇ俺より小さい癖にッ!」

鈴華「身長の話はしてないわよ!」

優仁「じゃあ器?」

鈴華「....もう許さない...全力で叩き潰す」

優仁「んじゃこっちももうちょい真面目にならないとな」

鈴華「キマリス!行くわよ!"霊装展開"!」

キマリス「そうか、では武運を。我が盟友」

鈴華の掛け声とともにキマリスの体が煙となって鈴華の体へ溶けていく。

某日曜朝のアニメのように体が光に包まれ、鎧が姿を現す。

しかしそれは腰周りに集中しており、上半身はサラシのみ。平たく言えば上裸である

優仁「俺のと随分違うな...」

バアル「そりゃそうだよ。霊装は悪魔の鎧、武器は心の形なんだから」

優仁「じゃあ心の形が鎌って相当ひんまがってんだな....」

鈴華「おしゃべりしてる余裕はあるのかしら!?」

鈴華が突っ込んできて大斧を振るう。しかし優仁は大鎌をクルクルと回し、遠心力を乗せてそれを払う。

鈴華「受けばかりかしら?そんなものが最強だなんて残念。やっぱり私がいちばん強い!」

その時優仁は一瞬ピタリと止まった。その隙を逃さず鈴華から横薙ぎが飛んでくる。が、特に焦る様子もなく大鎌の柄で受けた。

優仁「所詮井の中の蛙か...」

鈴華「何が言いたいのよ、言いたいことがあんならハッキリ言いなさいよ」

優仁「若い娘だから傷つけてはならんと加減していたが...とんだじゃじゃ馬だ。どうやら手加減など要らんらしい」

グッと力を込め、大斧を押し返す。大鎌を下ろし、空いた手で『かかってこい』とジェスチャーする

優仁「来いよ小娘。大海の広さを教えてやる」


雰囲気が変わった。いや、それどころの話では無い。別人になった。

今までの彼は正直言って一般人だった。ちょっと喧嘩が強い程度の雑魚に見えた。

それは今もそれほど変わったように見えない。と言うよりむしろ今の方が隙があるようにさえ見える。鎌をおろし、棒立ちなのだから当然だ。

しかし、今までの経験が、本能が、魂が『戦ってはいけない』と警告している

鈴華「何ビビってんのよ...こんな雑魚相手にッ!」

気にせず突っ込み、横薙ぎにする。

が、あっさり弾かれる。

鎌は見えなかった。否、その手になかった。

唖然としたバアルと一緒に後方で佇んでいる

鈴華(素手...いや、篭手!?)

鈴華が腕に目をやると鋭い爪を生やし、肘から下に鱗の生えた龍の腕が見えた。

次の瞬間、腹部に鈍い衝撃が走り、上下が反転する感覚。続いて地面に叩きつけられた。

鈴華「今....何が....?」

優仁「気絶させる気で殴ったが...存外硬いな、霊装というものは...」

四肢が痺れて起き上がれない

殴られた腹に鈍い感覚が残る

アイツが鎌を拾っている

殺す気だ。殺される。

こロさレる....しヌ......?

なぜ?どうして?どこで間違えた?

思考が回らない。ひたすらに『何故』という言葉だけがぐるぐると回っている

何故こんなにも強いのに初め何も感じなかった?

頭の近くで音がする。


優仁「さらばだ小娘。せめてもの情けだ、受け取れ」

そう言って彼女の首に鎌を振り下ろした。

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