第6話 霊装
魔界 第5層は要するに地下5階だった。移動方法は割と近代的で、エレベーターに乗るだけ。着いた先は階をまるまる全て使っているのではないかと言うほどの1部屋。奥に襖があり、辺りには松明のような照明があるが、それ以外の装飾は一切なく、タイルの床がやけに目立っている。
バアル「生身で戦うわけにもいかないから武装をしようか。ボクは君に憑いて魔力の供給に集中するから話せなくなるけど...まぁ、優仁なら大丈夫でしょ」
優仁「ちょい待て、いきなりひとりで戦闘はキツくないか?」
バアル「それじゃあ行ってみよー!"霊装展開"!」
バアルがやけにグイグイ押してくる。
優仁「わかった、やるよ!やるから!」
深呼吸をひとつ。心を落ち着かせ、魔法ともれるその一言を発する。
優仁「"霊装、展開"!」
まず、激しい痛みが襲ってきた。腕、足、そして頭。まるで体のうちから何かが突き破ってくるかのような。
意識が飛びそうな激痛を乗り越えると、自分の体が変わっているのに気づく。
手足は鱗が生え、指先からは鋭い爪が生えている。頭を触ってみるとこめかみの辺りから後ろに向けて角があるようだ。
優仁「ふーん....これが霊装か......」
手をグーパーしながら体の調子を確かめる。先程の激痛が嘘のように感じられるほどに問題はなかった。
優仁「次は武器だな」
右手を振りかざし、武器を出現させる。自分でもなぜ使えるのかわからないが、感覚的にわかったのだ。そうとしか言うことはできない。
優仁「おぉ、大鎌か...」
西洋の竜のモチーフが入った大鎌だった。顎から炎のように刃がのび、中間あたりでつっかえがついている。柄の部分には無数の東洋の龍が螺旋を描いて登っていくさまが掘られている。軽く振った感じ、あまり重いとは感じず、むしろ軽すぎてまともに戦えるのかと疑うほどだ。
そうこうしていると突然奥のふすまが開いた。そして奥から辛うじて人の形を保っているようなバケモノがでてくる。
優仁「まさかこれが亡霊...?」
片腕がないもの、下半身がなく、這っているもの、さらには2体が合体して溶け合っているようなものまで。
しかし、いずれも人間だったものならば、礼儀を尽くすべきだろう。
優仁「穢れを祓い、御霊を清める。その魂よ、永遠なる安らかな眠りへ...」
シャ「あれ?5層の反応が一気に消えた...」
本来、魂は一体づつ祓うのだが、彼のやり方は少し違うようだ。彼は一瞬にして"魂たちを消滅させた"のだ。
シャ「面白いじゃないか少年。成長が楽しみだ」
そう言って薄気味悪い笑顔を貼り付けた
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