未来
家に着いて数時間後、家のチャイムがなった。両親は私を学校に迎えに来てくれたけれど、その後仕事に戻ってしまったため家の中には私しかいなくなっていた。仕方なく重い体を引きずりドアを開けると、そこには美奈が立っていた。
「一ノ瀬さん。今日は、というより今日も、かな。ありがとう。もし一ノ瀬さんがいなければ、私は自分で自分を殺していたよ。」
「それを伝えにわざわざ……?」
「ううん、それだけじゃないんだ。私、また転校することになったの。今回は逃げではなく、単に両親の仕事の都合なのだけど。それが、……明後日から。もう一ノ瀬さんにしばらく会えなくなる。その前に、伝えておこうと思って。私を屋上で叱ってくれてありがとう。私のした行為をこれから償えるように、頑張るから。本当にありがとう。」
言葉を失ってしまった。転校、?訳が分からなかった。
「驚かせてごめん。けどまた一年後、戻ってくる予定だから。それまで、待ってて欲しい。」
そう言い終わった彼女は、涙目だけれどどこか晴れ晴れとしていた。私はこのとき、死神としての仕事を全う出来たのだと感じた。
「ありがとう。美奈のおかげで、私も死神であることを隠さず、役目を全うする覚悟ができたよ。一年間、ずっと待ってるから。それまで別の場所で別の事を、頑張ろうね」
「……うん!」
私たちはこの日、それぞれのやらなければならないことをやりきろう――――――――そう決意した。
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