衝撃
河井さんが成仏した翌日。
いつも通り私は学校に来ていた。…がしかし、美奈が教室に入ってこない。もうすぐで一限が始まるのになぜだ、そんなことを考えていた時、屋上に人影が見えた。まさか…私は頭で考えるよりも先に、体が動いていた。屋上に向かって、全力で走った。屋上に続くドアを開ける。
「なんでここにいるの?」
屋上に見えた人影はやはり、美奈だった。
「美奈こそ、何をしているの?まさか……」
「多分そのまさかだよ。私はもうここにいちゃいけないんだよ。一ノ瀬さんのいじめを見て見ぬふりをして助けず、河井さんをいじめ、自殺にまで追い込んだ。私は犯罪者なんだよ。生きている価値など、存在しないの。」
「犯罪者?自分で自分を殺すことだって、立派な殺人罪だよ!生きてる価値など存在しない?じゃあなんで私は全力で屋上まで走ってきてら今ここにいるの?……それは、私が美奈に生きて欲しいと思ってるからだよ。いじめは確かに決して許されない行為だと思う。けれど、それは生きて償うべきもので、死んだら許されるものじゃない!お願いだから現実から目を背けないで……!生きて!河井さんもきっと、それを望んでいるから……!」
私は泣きながら叫んでいた。今までだしたことがないような、大きな声で。
その声に大人たちが気づいたのだろうか。後ろを見ると、担任が立っていた。下には、万が一のことを考え先生たちがマットを持って待っていた。美奈もそれに気づいたのだろう。屋上の端で、泣き崩れた。私も燃え尽きたのだろうか。そこで意識を失ってしまった――――――。
あれから何時間経過したのだろうか。私はベットの上で寝ていた。
「気がついた?」
どこかから声がする。女の人の優しい声。周りを見渡すと、一人の女性が立っていた。
「ここは保健室よ。一時間くらい前、あなたは屋上で倒れたのよ。加藤さんはちゃんと生きているから安心して、彼女は一足先に早退したから今ここにはいないけれど。あなたも今日はもう早退しなさい。保護者の方には連絡しておいたから。」
美奈が生きていたことに、何よりもほっとした。私がしたあのときの行動は果たして正しかったのだろうか?きっとこの答えは出ないだろう、だけど私の頭の中はそのことしか考えれなくなっていた。どうか、私のした行動が正解でありますように。
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