転校

…キーンコーンカーンコーン


前の学校と同じ様に学校のチャイムがなる。

私は今日からここの学校に通うんだ。前の学校から、学校区的には2個しか離れていない。しかし、私の過去を知ってる人がいなければそれでいい。私は死神だけれど、もうそのことは絶対に隠さなければならない。幽霊からのメッセージを伝えようとしても、誰も聞く耳なんて持たない。嘘だろ、信じられない、そう罵ってくる人ばかり。もうその経験は十分した。もう同じことは繰り返さない。私は絶対、死神であることを隠し通すんだーーーそう決意していた。


「今日、転校生が1名来ています。どうぞ、入って。」

私は先生に促されるまま教室に入った。普通でいなきゃ。普通の生徒、普通の生徒…そう脳内で繰り返していた。

「O市立T中学校から来ました。一ノ瀬弥生と言います。よろしくお願いします。」

周りから拍手をされる。けれど、そんなことは私にとってはどうでもよかった。注目されたくない。早く一般生徒として扱われたい。そんな風にずっと考えていた。

「弥生さん、1番右の列の前から3番目の席があなたの席よ。」

1番前の席じゃなかったことにホッとする。けど隣の子は、どこかでみたことある…まさか。小学生のとき同じクラスだった、加藤美奈…?彼女がいじめていた子が自殺をしてしまい、学校に居場所がなくなりいつの間にか転校したと聞いていた。まさか、ここに転校していたなんて…。けれど幸い、美奈は私だと気づいていない。ただの転校生、そのように思っているみたいだ。

しかし、妙だ。美奈はとてつもなく明るく、か弱そうな子を見つけたらすぐいじめのターゲットにしていたのに、授業中も、休み時間になっても、ずっと自分の席で読書をしているか寝ているかだなんて。転校してから性格が変わったのだろうか?それとも、幽霊に取り憑かれているのではないか…?そんな考えが頭をよぎった。しかし私は死神であることを隠すと決めたんだ。私は心の中でずっとそう思い続けていた。

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