狂い人の書

潰したくて潰したくて

　　さてさて、ここに座す紳士淑女の皆様。まこっっっとにお待たせいたしました。いやぁ準備に手こずってね、邪魔する奴の多い事多い事。

　僕はちょっとした願いさえ叶えばそれで良いってのにさ、皆んな誤解し過ぎなんだよ。僕がやることなす事皆んな犯罪だって騒ぎ立てて。

　法に触れる事は今までして来なかったっての、全く。

　さて、前口上はコレくらいにしてっと。

　君達に聞きたい事があるんだ、簡単な事だから直感で答えて欲しい。

　唐突に『〇〇したい！』って思って、それにハマってしまった経験ないかな？もちろん僕にもあるけど、先に皆んなの意見を聞かせてほしくてね...........。

「「「「..............」」」」

　まーそうだよね、友達でも無いのにこんな事聞いてすぐに答えられる訳ないよね。

「むぅぅ！！んぅぅぅ！！！」

　おっと失礼！口にテープ貼ってたの忘れたよ、なんせ黒いテープなもんだから部屋の暗さと同化しちゃって見えづらくて。

　皆んなのソレをすぐに外す訳にもいかないし........。そうだ！僕が予想してあげるよ！

「むぅう！んむむむ！！」

　ふむふむ、『急に腹減って、食べてみたお菓子が予想以上に旨くてハマった』なるほど、僕にも経験あるよ。そんでそればっか食べて、飽きたらまた別の物食べてさ！忘れた頃にまたその菓子食べるんだよね。

「んぅ〜！！！ぁぁぁ！！」

　『前々から自転車旅してみたくて、何の記念日でもないけどある日家を飛び出した』か。なるほど！何か思いついたらすぐに実行するタイプだね君は！嫌いじゃないよ、僕も同じさ。『これ！』って思ったら試さずにはいられないんだ。

　良かった良かった、君たちもそれなりにやりたい事を持ってるみたいだ。

　じゃあ次は、『君達の持つ欲望』について教えて貰おうかな？

　しかぁーし！

　コレはこちらで勝手に調べたから、喋れない君らに代わって代読させて頂きまぁーす！

　エントリーNo.1！

　愛美女子学園2年【藤宮遥】

　『調査報告書』によると、最近君は恋愛関係についてある欲望を抱いてるようだね。何でも！同級生の「んぅぅ！！！！んー！！」て、分かった分かった名前は言わないから。同級生のA子ちゃんと恋仲になりたいんだってね。

　同性を愛してしまったその辛さ、分かるとは言わない。相談ならいつでも僕が乗るから、遠慮なく話しかけに来てよ。

　エントリーNo.2！

　地元の半グレ【腹巻一太】

　えーと.......君の欲望は中々にがめついな。金欲しい？うわー下らない、まさに半グレにお似合いの低能な欲望だね。

　エントリーNo.〜の下りも飽きたわ、やめだやめだ。

　さてさて、脈略のない話ばかりして申し訳ない。だけど必要な過程なんだよコレは、まぁ集まって貰って僕だけ喋ってるのも申し訳ない。君達から一人づつ質問を受け付けようか、ほらテープ剥がしてあげるから左端の君からどうぞ？

「........家族の元に、帰して貰えますか？」

　もちろん！ちゃんと【お返し】するとも！僕のしたい事に協力して貰った後でね。

　次

「助げでぇぇ！！いてぇよぉぉ、うっ。オェぇゲホゲホ」

　君は〜.........あ〜思い出した。勝手に帰ろうとしたから少しばかりお仕置きをしたんだったね、なにスタンガンの電圧なら死にはしないさ。

　次

「私が何をしたの？ねぇ、答えなさいよ。私達が何をしたのよ！！」

　？　別に何も？強いて言うなら、君らは自身のニキビ治療の為に新しい療法を試しに来たって所かな。

　次

「お前なんてすぐに捕まるさ、死刑だな。今に見てろよクズ野郎」

　実は前々から法廷には興味があってね、捕まったら『僕は指示されてやったんだ！真犯人は別にいる！！』て叫んで見ようと思うんだけど良くない？

　潮時だね、僕自身のやりたい事つまりは【欲望】について話そうか。

　僕が中学生だった頃、初めて顔にニキビが出来たんだ。ちょっと触れてみたら恐ろしく痛くてね、けどニキビ独特のプヨって感触に思わずハマっちゃったんだ。

　そんなある日、風呂から出て洗面台の鏡に映る自分の顔。そして顔にポツリとあるニキビを見て思ったんだよ。

「このニキビ潰してみたいな」ってさ。

　そこからの僕の行動は早かったよ、裁縫箱から針を持ち出してニキビを刺してみた。けどそれじゃ穴は開くけどニキビは潰れないんだよ。

　だから次は裁ち鋏を持って来た、けどただ痛いだけでニキビをピンポイントでは切れなかった。

　次は指と指で挟んで押し潰してみた、するとどうだろう。痛みとともにプチって音がしてニキビが潰れたんだ！

　僕はそこからその感触に夢中になった。ニキビがまた出来るまでは、荷物の緩衝材に使われるビニールの空気が小さな丸に入ってるのあるだろ？アレを潰して気持ちを紛らわさせた。

　けどアレじゃダメなんだ！！潰した瞬間の痛みとぉ！中から溢れる脂を感じる事が出来ない！！

　新しいニキビが出来るまで気が狂いそうだったよ、そんで出来たら潰すんだ。

　出来たら潰して出来たら潰して出来たら潰して潰して潰して潰して潰して潰して潰して潰して潰して潰してぇぇぇ！！！！

　ハァ　ハァ　ハァ、ハァァァァァ。

　失敬、少し興奮しちゃったよ☆

　とにかく！僕はニキビを潰したい、けどさ。僕の顔にはもうニキビが出来ないんだ。顔が穴ぼこだらけになってさ、もうニキビ潰せないんだよね。

　だから君達が必要なんだ、まぁ君達の顔にニキビが出来なくなったらすぐに家に帰してあげるから安心して！

　色々新しい潰し方を試してみたくてさ！ニキビって熱で潰れるのかな？逆に冷やしてみたらどうだろう？真空になれば勝手に潰れるのかな？地面に顔を擦り付け続けたら何回まで耐えられる？

　楽しみ楽しみ楽しみ！逆にニキビが再生するまで何日かかるか、記録に纏めるのも良いかも知れないね！

　君達ぃ...........僕の欲望を叶えておくれよ？