第2話  朝食

階段の下からは、フレンチトーストとミネストローネの香ばしい匂いが漂っていた。


「相変わらず、春樹は料理が上手いよなぁ.......

この前母さんが、(春樹の作った料理の方が美味いからもう作らない)って、言ってたぞ。」


──うちの父さんと母さんは、貿易関係の仕事をしていて、一年のほとんどは海外で生活をしている。

そのため、家に帰ってくることはほとんどない。


「流石に言い過ぎだって、兄さん。

それに、この料理だって子供の頃、母さんに教えてもらった料理を真似して作っただけだよ?

ちょっとアレンジ加えてみたけど、。」


見た目はもはや、高級レストランの料理を食べようとしているかのような完璧なものだ.......


「いただきます!」


1口サイズにトーストを切って口の中に放り込んだ.......




──パクッ


甘いフレンチトーストが口の中で溶けていく.......


──ゴクッ


そこに、丁度ミネストローネのトマトの味がベストマッチしていく.......




「春樹、俺の妻になって毎日ご飯作ってくれないか?」


「何言ってるの兄さん、流石に無理だよ。それに、僕男だし.......」


そこに突然、話を遮るように携帯の音が鳴り響いた。


──ピロンッピロンッ.......


AM 7:30

──この時間の通知は.......


「悪い春樹、ちょっとトイレ行ってくる」


俺は、スマホを片手に急いでトイレに入った。

しかしトイレに来たのは、用を足しに来た訳では無い.......



「オッハヨーみんなーー!!ココアのモーニング配信だよ〜!!」



最近ハマっているVアイドルちゃんが、配信する時間が来たのだ。


俺はトイレの中で、他の人のコメントに埋もれないよう、すぐにハイチャ(ハイパーチャット)でコメントを打つ。


(おはよう、ココアちゃん!今日も可愛いよ!)


すると、数秒後に返答が返ってきた。


「おはよぉー、レオンさん!毎朝ハイチャありがとぅー。今日も頑張ってね〜!!」


このというのが、俺のアカウント名だ。

レンの真ん中にオを入れるというただピンときただけの名前だが、意外としっくりきている.......


──ふぅ、今日も何とか読んでもらえたか。


他人からは一見、一行程度の言葉をわざわざ金を払って読んでもらって、無駄だと思う人もいるかもしれない。

だが、蓮にとってたったそれだけでも、払った額の何倍も価値があった.......

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Vオタとバーチャルアイドルは恋愛できない!! 波乗りフエイ @surf7325

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