第2話 赤い紅茶に何が映る…?
先生は、紅茶をじっと見つめた後、
「これは猫ね」とぽつりと言った。
「猫というのが、どういう意味か分かりますか?」と先生は男子生徒に聞く。
男子生徒は、急いで分厚い教科書をぱらぱらとめくる。男子生徒の扱いが雑なのか、使い始めたばかりの教科書だというのに、布製の表紙が既にボロボロになっている。
「猫…、あった。猫は、古来からネズミ避けとして、人々に飼われてきました。故に、占いでは、守護の意味を持ち、占ったものが、普段は何も感じずとも、何らかの困難に直面したとき、また占ったものの大切なものが壊されそうな時、何者かに守られていると感じられるようなことになるであろう。」
「ええ、つまり、あなたは何かに常に守られているということですね、心当たりは?」
男子生徒がすかさず答える。
「じいちゃんだ。ぼくのじいちゃんが昨年亡くなったんです。きっと、ぼくのことがだいすきだったから、天国から見守ってくれてるんだ。」
先生は、それを聞いて、にっこりと微笑む。
「ええ、きっと、そうでしょう、これからどんなことにも安心して取り組むといいわ。」
そう言うと、先生は教壇に戻り、
「さあ、皆さんはどうでしたか?そろそろ、ノートに結果を記入してくださいね、それからプリントにも記入して、書いたら出すのを忘れないでね。それから、カップは洗って元の場所に戻すこと。」と、この授業で初めて声高らかに言った。
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