8月13日

 甲羅を叩く雨粒の音が賑やかしい。規則性など何もないその音色のどこかに決まりを見つけ出したくて、私は本を閉じて耳を澄ました。雨音は気まぐれに甲羅に触れては弾けていく。その中に囁くような透き通った音が混ざっているのに気がついて、私はハンモックから身体を起こした。そうだ、鈴の音だ。キッチンの戸棚からオイルランプを取り出した。中にオイルが入っているのを確認して、玄関先のタイルの上に置く。

 夜の始まりの時間、雨雲が敷き詰められているからかいつもより仄暗い。周囲を見回すと等間隔で並ん灯りがゆっくりとこちらに向かってくるところだった。ちりん、ちりんと雨音の間を縫って音が届く。こちらにやってくるまでに、灯りは時折ついと列から離れてどこかへ消える。私は先頭が我が家にたどり着く前に慌てて家の中に戻った。見ることは許されていないのだ。

 ちりん。

 ひときわ近くで鈴の音がして、そして次第に遠ざかっていくのがわかった。玄関が開く音がして、時間をおかずレオが部屋に入ってくる。火のついたオイルランプを手に持っていた。

「おかえりなさい」声をかけると微かに火が揺らめいた。

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