8月12日
ほら言ったじゃないか。と呆れ顔のレオに私はうーとかあーとかそんな感じの音で返した。ぽっかり口を開きっぱなしの天井を見上げる。明日から雨が降るらしい。それも、かなりの量の。ということは早急にこの穴をどうにかしなくてはいけなくて、呑気に星屑集めてる場合じゃなかったのだ。レオはぽり、と干し星を齧った。「どうする? 家の中が水浸しになってしまうよ」「知ってるよ……」
今から業者を呼ぶわけにもいかないし、ビニールシートでも被せておくしかないか。諦めて裏庭の物置へ向かう途中、蟹と目が合った。
正気? と聞くレオに正気だけど? と返しながら、巨大蟹の甲羅を上から穴に被せた。予想通りぴったりで、満たされた気持ちで屋根から降りる。下から見ると屋根に張り付く甲羅のおかげで蟹料理のお店に見えなくもない。これは誤解を招きそうな気もする。やはり早めに修理してもらったほうがいいかもしれないと思った。
部屋の中から見上げると甲羅の裏側しか見えず、昨夜までの天然プラネタリウムを思うと見栄えはよくない。まあ、数日の我慢だ。それに洗って乾かしておいたとはいえ、食欲をそそる香りがする。
「また食べることばっかり考えてる」
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