8月11日
目が覚めるとバケツ一杯に星屑が入っていた。蝋燭を取り出して水を注ぎ、じゃぶじゃぶと洗い汚れを落としてトンカチで砕いていく。星屑はそれぞれ少しずつ色が違って、光を反射して天井に星空を映し出した。
ある程度大きさが揃ったら鍋に入れて十分茹でる。湯切りしたそれをグラスの三分の一まで入れ、そこにゼラチンを溶かしたサイダーを注いで冷蔵庫で冷やす。
そうして出来上がったものを心底眠そうなレオに差し出したところで、チャイムが鳴った。出てみると白い少年が立っていた。肌も白いけれど、それだけでなく着ている服も髪も白い。「僕のペットが昨夜ここに落ちたと思うんだけど」彼は言った。「ユリシス星θ、ここで昨日死んだと通知が来たから」
私は彼を家に招き入れて、煌めくゼリーが入ったグラスを差し出した。果たして中に探している子がいるのかは分からなかったけれど、彼はそれをひと掬い口に運ぶ。そうして何も言わずに食べ切ってしまった。
「ずっと星を飼ってきたけど、食べたのは初めてだ」食後それだけ呟くと立ち上がり玄関を出て行ってしまった。追いかけたけれどどこにもいなくて、眩しいほどに日光が世界を照らしていた。
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