8月10日

 昨日壊されて大きく穴があいた屋根の下にベッドを移動した。ごろりと寝転がると眼前には星空が広がり、こりゃ天然のプラネタリウムだねぇと思わず呟いた。「そうかい」布団に潜り込みながら、レオがどうでも良さそうに返事をする。

「そんなことより早く塞がないと、寝てる間に魚が落ちてきて死ぬよ」「そんな極端な」

 起き上がった私はサイドテーブルのグラスを口に運んだ。ひまわりのシロップをウィスキーに垂らしたものは、エアコンが意味をなさない夜には最適だ。「星屑のゼリーでも作っておけばよかった」「食べることしか考えてないな、君は」失礼な奴だな、そんなことない。と言い返そうとして否定しきれない。

 私は部屋の隅からブリキのバケツをいくつか持ってきて、ベッドの周りに置いた。中に一つずつ蝋燭を灯す。「うげえ。それ煩くて寝られないんだよ」「子守唄だと思えばいいよ」「無理だね」それでも明日になればゼリーを食べるくせに。おやすみを言って布団にもぐりこんで目を瞑った。ぶつくさと文句を言いながらレオが隣で丸くなる。すぐに星が落ちる小さく乾いた音が部屋に響き始めた。

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