8月3日

 朝起きて、昨日漬けたばかりのシロップを炭酸水で割った。透明なグラスの中で鮮やかな黄色が小さな泡と合わさってしゅわしゅわと小さな悲鳴をあげた。口に含むと花弁と同じように身体を冷やして、夏にぴったりの飲み物になる。これだけあれば今年の夏は越せそうだ。

 気分良く玄関を出ると隣家の庭に整列したひまわりが全員こちらを見ていた。「許さない」「許さない」「許さない」「許さない」ひまわりは口々に非難してくる。黙って素通りしようかと思ったけれど、暑さのせいかなんとなく腹が立ってひまわり達の前に仁王立ちした。

「許さないも何もこれが弱者と強者の関係でしょう。あなたたちは食われるもの、私は食べる者、そういうこと」

 そもそも土に埋もれた彼等に私をどうにかすることはできない。

「お前も同じ立場になればわかる」「ならないよ、ヒトは常に食う者だもの」ゴジラとか出てきたら違うのかもしれないけど。私は笑った。そんなことありえない。

 ひまわり達は一斉に身体を震わせた。それが恐怖からなのか、怒りなのか分からない。

 遠くで地響きのような音がした。

 

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