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私たちは国王陛下と王妃様が居なくなられてから、城の中にある庭へと来ていた。帰らせてよ〜!


「傷は大丈夫なの?」

『はい、大丈夫です。あの後精霊に治して頂きましたので。』

「そうか。なら良かった。あの後何度も会いに行こうと思ったんだけど父上に止められて。」

『そうでしたか。私などに会いに来られなくても良かったですよ。時間の無駄ですから。』


遠回しに来るなと言ってみる。王太子の目付きが険しくなった。


「なんで?」

『私たちは愛のない婚約です。そんな婚約者の元に行っても意味が無いでしょう?』

「へぇ〜面白いこと言うんだね。」

『面白いことと言われましても、愛のない婚約なのは王太子・・・・レオ様も承知の上でしょう?』


今の王太子見た!?私が王太子って呼んだ瞬間殺されるんじゃないかってぐらいの怒った感じで睨んできたんですけど!


「いや俺が了承したのは僕が君の他に心が惹かれる相手がいたら即刻婚約破棄ってことだけ。別に愛が無いなんて言われてないよ。実際俺はエレーヌ嬢のこと愛してるしね。」

『愛してるって。』

「ねぇどうしたら君は俺を好きになってくれるの?学校でもリュカとは話すのに俺とは話さないし、この前なんて1人でどっか行っちゃったと思って探してたら、魔物と戦って怪我なんてしてるし。せっかく俺自身を見てくれる人に出会ったと思ったのに、残念だよ。」


後半になるにつれてどんどんと小さく、弱々しくなっていく声。だんだん申し訳なくなってくる。



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