3


びっくりして固まるお父様方をよそに話を続ける。


『光と闇。それに無魔法まで習得していて驚きましたか?私は今まで話したことはありませんでしたよね。』


そう、無魔法はまだしも本物のエレーヌは両親に光と闇の力を言わなかったのだ。何故かは大体予想はつくけどね。


エレーヌは自分の両親を完璧には信じていなかったってことだろう。光も闇も生まれ持つのは天性だ。それゆえ悪用される危険性もゼロではない。たとえそれが両親であっても・・・


「何故それを言ってくれなかったのだ。」

『逆にお聞きしますが、私が幼い時に光と闇の力を持っていると正直に話したらお2人はどうされましたか?自分の心にお聞きください。あなた方は私を利用して色んなことをやらせたんではありませんか?刑罰に触れるようなことを。』

「そ、そんなことっ」

『無かったと言いきれますか?絶対に利用はしなかったと神に誓えますか?』


そう聞くと、お父様が奥歯を噛み締め話すことを辞めた。


『人は善人ではありません。必ず心の何処かに悪を持っているのです。私が分かりやすい例です。私は善の象徴と言われる光の魔法、そして悪の象徴と言われる闇の魔法。対極に位置する魔法を同時に持っているのですから。』


私は笑みを深める。多分傍から見ればただの悪徳令嬢。まぁそれでいい。だって私、ヒロインになる気全然無いので。

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