3
結界の中に入ると、外から中が見えないようにする。
私はゆっくりと魔物へと近づいていく。
魔物は叫び声をあげながら暴れている。とても暴れているので中々魔物へと近づけない。でもここで焦ってしまっては私の負けだ。こここそ落ち着いていかないと。
『お願いだから落ち着いて。誰もあなたに危害を加えたりしないわ。』
ゆっくりと魔物へと手を伸ばす。
『・・・ッ・・』
すると驚いた魔物が私の腕を払い落とす。その時魔物の爪によって私の腕が切れて血が出てきた。結構深かったのか中々血が止まらない。でも今はそんなこと気にしてられない。私は腕を抑えながらもう一度魔物へと手を伸ばす。
『大丈夫。大丈夫だから落ち着いて。』
僅かに震える手を伸ばすと、魔物がゆっくりと近づいてくる。私も少しずつ相手刺激しないように少しだけ手を前に出す。
ゆっくりと、ゆっくりと。
魔物は警戒しながらも私の手のひらへに頭をくっつけた。私は優しく頭を撫でる。
『ありがとう。』
すると、魔物は巨大だった姿から元の大きさへと戻っていった。3m以上だったのが、1mちょっとの大きさになった。元はこんなに小さいのか。
私はもう魔物が暴れないとわかると結界を解いた。魔物の一瞬ビクッとするも、私に擦り寄り落ち着いた。
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