第134話 追放劇・イレギュラー
「クリフ君の趣味は脇に置くとして、だ。
金盾アルペロ、ロイメ市が新たな法律を作った。
『魅了スキルなど精神操作スキルを、精神操作属性の魔術と同様の扱いとする』だそうだ。
これで君の魅了スキルもロイメの法の管理化に入る」
シオドアが言った。
「それがどうした!
ロイメの法は法律ができる前の事には干渉しない。
マデリンが言っていたぞ!」
金盾が言った。
「そうなのか?」
コイチロウさんが聞く。
「はい、そうです」
ユーフェミアさんが答える。
「その通りだ。
金盾アルペロ、君は犯罪者ではない。
だから、ロイメ市は監視役をつける方針だそうだ。
まあ、無料でボディーガードがつくと思えばいい」
シオドアが言う。
「金盾の監視役は誰がやるのだ?」
コイチロウさんが聞く。
「とりあえず、ウチとソーソーやな。
ウチは、金盾みたいな背の高い男は好みやないから大丈夫。
ソーソーは、金盾の魅了スキルに興味があるみたいやけど、リザードマン族は愛が高じると相手を食べることがある。
金盾ェ、今
注意しぃや。
あと、レイラさんが報酬次第で引き受ける言うてたでェ」
シーラさんがちょっと柄が悪く言った。
金盾はげっそりした顔をした。
シーラさんやソーソーさんに監視されるのも大変そうだが、レイラさんが監視役だとさらに大変そうだ。
「それが嫌ならとっととロイメをでていくことや。
そん時は、銀弓も一緒に連れてったってや」
ケンタウルス族のシーラさんは、
「異種族どもめ」
金盾は言った。
まあ、異種族には魅了スキルはききにくい。
金盾にとってはやりにくい相手だ。
「ロイメの異種族共存などうまくいくはずがない。
いずれ終わる」
金盾は続ける。
負け惜しみの憎まれ口だ。
ユーフェミアさんが一歩踏み出す。
「そうですね。いずれ終わるでしょう。
でも今日ではないし、明日でもありません。
私の寿命程度は持つと思います。
そして、ハーフエルフである私の寿命はあなたより長いのですよ」
ユーフェミアさんは一見おだやかに言う。
しかし、これは……、ユーフェミアさん相当怒っているぞ。
金盾はギリッと歯ぎしりをした。
「グダクダと理屈ばかり。どいつもこいつもいい加減にしろ」
金色の目が爛々と輝きだした。
「俺のスキルが女にしかきかないと思っているのか?
美やカリスマに男女は関係ない。
男でも女でも美しく魅力的な存在はいる。そうは思わないか?」
金盾の声が頭に響く。
「兄者、金盾が一瞬魅力的に見えてしまった!
俺を殴ってくれい!」
コサブロウさんがコイチロウさんに言った。
次の瞬間、コサブロウさんの体が吹っ飛んでいった。
ワンテンポ遅れたが、僕は皆が入るように精神操作属性の防御結界を張る。
ヨシ!
「貴様!」
金盾は僕がやったことに気づいた。
「精神操作属性の魔術師か。
金盾はそう言うと金色の目を僕に向ける。
金盾と僕の目が合った。合ってしまった。
恐いもの見たさに視線を外すのが遅れた。
だって、興味あるだろ!
魅了スキルだよ!
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