第133話 追放劇・プランB

「なんだ、この記事は!罰当たりな!」

金盾が大声を出す。


先程までの余裕は消えた。本気で怒ったようだ。



ここからはプランB。

多分、理屈じゃない世界に突入する。

問題になるのは「神託」と「信仰」だろう、とユーフェミアさんは言った。


「神託に敬意を払ってのことです。

記事に魅了スキルについては書いていません。

内容もすべて事実のはずです」

僕は言った。


裏を取れなかった内容は、~だと思われる、とか、~噂がある、とか書いてあるしな。



それにしても、プランBは、僕が中心なんだよね。できるかな?

ナガヤ三兄弟もサポートしてくれるけど。

なお、プランCで、ユーフェミアさんが再登場する。



「神をないがしろにすると天罰が下るぞ」

金盾は言った。


「神をないがしろにしてるのは、金盾あなたでは?

ロイメでの不摂生な生活、あなたに付いてきた銀弓への態度。

天候の神カザルスがお喜びになる態度とは到底思えませんがね」

僕はなるべく嫌味たらしく言った。


「余計なお世話だ!」

金盾は言う。


僕も金盾の言う通り、余計なお世話だと思う。

が、それだと依頼は達成できない。



「金盾アルペロと銀弓ダイナ、金と銀、同時期の生まれ、天候の神カザルスの神託とその妻である結婚の神ヴァーラーの神託。

そこに繋がりを感じるのは自然なことです」

僕は言う。

今度は少し真面目な口調だ。


そして、僕の続きを話すのは、コイチロウさんの役目になる。


「お主は銀弓を見捨てようとしているが、危険だな。

最悪、神に見捨てられ、スキルを失う可能性もあるぞ」


本当にそうなるかどうかは知らない。

これは、不安を煽る作戦である。



「故郷の神官連中みたいな口をきくな!

俺は、あいつが銀弓が好みじゃないんだよ!」


「具体的にはどこら辺ですか?」

僕は聞いてみた。


まあ、銀弓の性格とか考え方はアレだからなあ。

金盾の気持ちは分からなくもない。


「胸が小さいだろ!

胸は最低でも標準、いややっぱり巨乳だ!」

金盾は言った。


「人柄や内面じゃないんですか?」


「女の内面?どうでも良かろう」


僕は沈黙した。



「胸なんざ普通でいいと思うが」

コサブロウさんが言った。


「フム、俺は小さくても気にしないな」

コイチロウさんが言う。


「器の小さい男だのう。

大きいも小さいもそれぞれ良い所があるのだ」

コジロウさんが言う。


なお僕は、女性は胸より人柄を評価したい。いやマジで!



と言うか、ちょっと待て。

このロイメを揺るがす大騒ぎの元は、金盾の巨乳好きか!

そう言えば、女楽士も胸は大きめだったような?。

信仰ではなく、性癖の問題だったわけか?


「その程度妥協しろよ」

僕は言う。


「俺は妥協しない主義だ」

金盾は言った。



ドンドン!ドンドン!

扉を叩く音がする。


「ウチらはロイメ市と、冒険者ギルドに依頼を受けた者やで。扉を開けや」


どうやら新たな客だ。

悔しいが、時間切れか?

ここまで来たら、僕達の手で追放したかったんだが。




コサブロウさんが扉を開けた。

入ってきたのは、『緑の仲間』の丸っこいケンタウルス族のシーラさん、なぜかいるシオドア。

そして遂に会えた、リザードマン族のソーソー!


リザードマン族は、その名の通り直立したトカゲのような見かけだ。

鱗は綺麗な緑色で、頭頂部には朱色から赤に見える飾り鱗がある。

背はナガヤ兄弟よりも高いが、体の厚みはやや薄いか?

そして長い尻尾がある。

これは武器にもなるだろう。

なお、簡素な貫頭衣だが、服は着ている。


僕はマジマジと見つめてしまった。

こんな近くでリザードマンを見るのは初めてだ。


「リザードマン族を見るのははじめてかい?」

ソーソーさんが、口をきいた。

ハスキーな声だ。

低い声だが、甘さがある。


「はじめてです。感激です。

頭の鱗がすごく綺麗な色ですね。

でも、薄い緑の腕の鱗も良いです。

あなたのような美しい方に会えて、感動です!」

僕は言った。


小さい頃から、トカゲも蛇も好きだったのだ。

ソーソーさんはすごく綺麗だと思う。


「金盾アルペロ、うちのリーダーを見よ。

世界をあるがままに受け止めている。

お前のような心の狭い男とは大違いだ」

コジロウさんが言った。


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