第10章 女神大戦
第117話 Sランク冒険者からの依頼
あの後、どうなったか?
マデリンさんは再び姿をくらました。
追いかける気力のある者はいなかった。
だって、
セリアさんは「
マデリンさんと銀弓ダイナの決闘は継続中だ。
ロイメの話題は決闘一色だ。
『
僕としてもロイメの町がここまで一つの話題に占領されるのは経験したことがない。
なんとかできないのかって?
できるわけがないだろ!
そんな女神大戦争に巻き込まれたら、僕のような一般人はひとかたまりもない。
嵐が過ぎ去るのを待つのが吉である。
そんな訳で、話を変える。
『三槍の誓い』にとって良いことがあった。
聖属性の魔石の買い取り値段が、ハロルドさんと魔石商人との間で交渉がまとまらず、長引いていたのが決着した。
結論を言えば、赤字は免れたし、そこそこの稼ぎになった。
ハロルドさんがしつこく粘っただけのことはあった。
精算結果を書く。
ノーマルの魔石で持ち帰れたのは、Lv2が1個。35万ゴールド。
Lv1の大きめのが6個。60万ゴールド。
中くらいの物が8個。26万ゴールド。
その他クズ魔石がたくさん。
しめて145万ゴールド。
揉めたのは、聖属性の属性石だ。
全部で6個。
すべてLv1相当だ。
しかし、明らかに以前僕が取った物より大きい物もあった。
魔石商人はすぐにも買い取りたそうだったが、ハロルドさんは応じなかった。
最終的には魔石商人が折れた。
評価額は大きい物から40万、38万、30万、30万、30万、28万。
大きい2つは『雷の尾』と『三槍の誓い』の所有物になり、残り4つの合計が118万ゴールド。(大きい方が欲しいんですがby魔石商人)
ダンジョン水没については、もちろん冒険者ギルドに報告した。
ギルドは、今回の報告がお気に召さなかったようだ。
褒賞金は3万ゴールド。
合計266万ゴールド。
『デイジーちゃんと仲間達』への報酬はボーナス込みで45万ゴールド。
聖水代30万ゴールド。
青き階段への謝礼金5万ゴールド。(今回は無理なさらなくていいですよ?)
差し引き186万ゴールド。
これを人数分で等分する。
メリアンは半分『雷の尾』にいたと言う扱いだ。
186万ゴールドに5.5/12をかける。
『三槍の誓い』の取り分は、85万2500ゴールド。
『禿山の一党』に払った分など経費と端数はパーティー積立金にする。
残額72万ゴールドを6等分で1人頭12万ゴールド。
想定よりはだいぶ下がったが、悪くはない。
聖属性の魔石のうち、『三槍の誓い』の物になった1つは、キンバリーの
キンバリーは、私に聖属性の
これで『三槍の誓い』全員がアンテッド
ヨシッ!
『雷の尾』は、聖属性の魔石をもう1つ手元に置いたようだ。
1つめはダグの槍に、2つめはハロルドさんの盾に組み込むらしい。
ギャビンはハイ・レイスに取られた魔石について愚痴をこぼし続けている。
ホリーさん曰く「愚痴っぽいったらないわ」とのことである。
今日『三槍の誓い』が集合するのは、サブ・ダンジョンに潜る計画を立てるためである。
僕とコイチロウさんとコジロウさんは既に席についている。
「ロイメ中が決闘について話しているぞ」
コイチロウさんが言った。
まったくである。
僕達もまさしく今、決闘について話をしているし。
「魔術師クランの学者連中ですらそうですよ」
「クリフ殿、このいざこざはどう決着がつくのだ?」
コジロウさんが言う。
「分かりません」
魔術師クランの連中は、いつものように皆で勝手に予想を立てている。
しかし、言ってることはバラバラだ。
僕は、マデリンさんが強いと言うことは知っている。
しかし、問題は、マデリンさんが勝ってそれできれいに終わるのかどうかだ。
ユーフェミアさんが火中の栗と言い、シオドアがさっさと決着をつけたがった理由が分かった。
そう言えば、シオドアはこの前の依頼料を『青き階段』に送りつけて来た。
僕は5万ゴールド、メリアンは3万ゴールド。
相場の倍以上である。
特にメリアンは、上級治癒術師並みだ。
これは、ありがたくもらっておく。
あと、レイラさんのマデリン・クエストの報酬が1人3万ゴールド。
これも臨時収入だ。
「たっだいまー」
メリアンの甲高い声がロビーに響いた。
続いて、キンバリーとコサブロウさんも現れる。
「借金は返して来たわよ。
だいたいレイラさんは急がなくてもいいのにって言ってたのよ」
メリアンは能天気に言った。
「お金が手に入ったんだから返すべきだろ。
新しい装備が必要なら、金は『三槍の誓い』から借りればいい」
僕は言う。
「じゃあ、わたし高性能
メリアンは言う。
高性能
メリアンには必要な物なのかもしれない。
「キンバリー、いくらぐらいの物が必要なのか調べてくれ」
キンバリーはうなずいた。
「ちょっと、何故わたしに聞かないのよ!」
メリアンが怒った。
ごめん、メリアン。でもこれは、適材適所だ。
「キンバリー、レイラ殿はあの後どうしているのだ?」
コイチロウさんが聞いた。
「もう知らないって言ってる」
キンバリーは答える。
まあ、その気持ちはわかるよ。
その後、僕達がサブダンジョン行きの相談を始めようとしていた時だ。
二階から、副クランマスターのホルヘさんが降りて来た。
「皆、良い知らせだ!
今回の決闘について、『緑の仲間』のジェシカ・ダッカーが立会人をつとめるそうだ!!」
「おおおっ」「来たか」「大物だな」「これはいいんじゃね?」
『青き階段』のロビーにどよめきが走っている。
ジェシカ・ダッカーはそれだけのビックネームだ。
正直僕はほっとしたよ。
「ジェシカ・ダッカーとは何者だ?」
コサブロウさんが言った。
「『緑の仲間』のリーダーで、Sランク冒険者で……」
僕が話し始めた所でホルヘさんが割り込んだ。
「『三槍の誓い』の6人は、ちょっと二階まで来てくれ」
クランマスター室には相変わらずクランマスターはいない。
そして、ホルヘさんの隣にはユーフェミアさんが書類を抱えて立っている。
「揃ったな。『三槍の誓い』に依頼が来ている。
ジェシカ・ダッカーからだ。
『この度の決闘を公平に行うために調査を行う予定である。
ついては、その調査に『三槍の誓い』に協力をお願いしたい』
Sランク冒険者からの指名依頼だ。ずいぶん名が売れて来たな」
ホルヘさんは笑顔で言った。
多分これ、断れない奴だ。
どうもサブ・ダンジョンはお預けらしい。
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