第46話 伝説のドラゴンⅢ
4月27日 8:20
体から尻尾を抜かれどさりと地面に落とされた先生は、既に息を引き取っていた。
「レオ…どう…する…?」セージが掠れた声を出した。
「…やるしかない。」
俺が言った瞬間、チームのみんなでドラゴンの近くまで飛んで行った。…が、すぐに止まった。目の前には校長先生とエヴァンス先生がいたのだ。二人とも血だらけでドラゴンの尻尾に捕まっており、「助けてくれ…。」と言っているように聞こえた。
「生きていたのか。」助けようとそれに近寄ったマックを「罠だ!」とセージが止める。
マックはすぐに止まったが、ドラゴンが尻尾を彼に巻きつけ、彼に雷を直撃させた。「ゔぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「マック!」
涙でぐしゃぐしゃの視界の中に見えたのは、ドラゴンの尻尾に巻きつけられ、ぐったりと頭を落としたマックの姿だった。顔は黒く汚れ、首には赤い血管が浮き出たような跡がある。
俺はドラゴンの尻尾から上を凍らせ、マックに近づいた。後ろから他の人たちもついてくる。「マック!」
「ごめん…罠だって、気付かなくて…。馬鹿だな…。まさか、チームで一番最初に、死ぬなんてな…。」
「待て待て待て、まだ死んでない、今から処置するから!」
俺が魔薬を取りに行こうとしたが、マックがそれを止めた。「そんな、時間は…もう、ないだろう…だから、もう、いい…。絶対に、やつを、倒せよ…。」そして息を引き取った。
ポタポタと俺たちの涙が落ちるのが不快だったのか、尻尾がシュルシュルとほどけてマックが地面に倒れた。
俺がマックを離れたところへ運ぶと、ドラゴンが凍っていた体をバキバキと動かし始めた。
「俺が囮になる。」
珍しく喋ったアレクセイが放った言葉に、全員が「…は?」と声を漏らす。
「あとは少し散らばって不意打ちをすればいい。お前らなら勝てる。」アレクセイはそう言ってドラゴンの方へ飛んで行く。
「止めなきゃ!」デイジーとキャシーも飛んで行こうとしたが、俺とセージで止めた。「待て!」
「でも…」
「アレクセイは死ぬとは言ってない。あの作戦通りにやれば勝てるかもしれない。」
俺が言うとデイジーとキャシーは渋々了解してくれ、ドラゴンの背後にワープした。
囮となったアレクセイは巨大化し、ドラゴンの首を掴んだ。
もう少しで首の骨が折れるという瞬間、ドラゴンが喉をカッと開き、一瞬でアレクセイの口から魔力を吸い取った。
アレクセイの体のサイズは戻り、ドタンッと地面に落ちた。
俺たちが助けに行く暇もなく、そのアレクセイをドラゴンが踏み潰す。
グチャッという音がして、ドラゴンの足から血がはみ出た。
俺は胸が苦しくなるのを感じながら、ドラゴンに近づいていった。
ドラゴンに最初に見つかったのはセージだった。長い爪が彼めがけてさらに伸びた。
キャシーがその間にワープしてきてバリアを作ったが、鋭い爪でバリアが割れてしまった。
「脆いな。」ドラゴンはキャシーとセージを手で払い除け、地面に叩きつけられた二人を助けに行こうとした俺を掴んだ。
その手をデイジーが切り落とし、ドラゴンは痛みで大きくうめく。
俺は切り落とされたドラゴンの手と共に地面へ落下したが、幸い手がクッションになってくれたため軽症で済んだ。
デイジーは畳み掛けるように次々といくつものエネルギーの玉をぶつけていく。
相手はその玉が当たる度にうめき声を上げて怯んでいるから、攻撃は効いているようだ。
俺も加勢しようと巻き付く手を切り裂き、立ち上がった。
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