第45話 伝説のドラゴンⅡ
4月27日 7:55
「怪我は!?」
俺の質問に、エヴァンス先生とアレクセイとマックが同時に答えた。「ない。」
上を見ると、校長先生が物凄いスピードでドラゴンに攻撃を仕掛けているところだった。
「俺たちも行くぞ。」先生の言葉に俺たちはうなずき、校長先生の近くまで行って攻撃を始めた。
しかし、どんなに強い攻撃をしても、全て防御されたり跳ね返されたり吸収されたりしてしまう。跳ね返しでなくてもドラゴンのただの攻撃は強すぎる。それによって数人のペリドットが命を落としてしまい、とうとう残った味方は俺とチームのメンバー、校長先生、エヴァンス先生のみになってしまった。
俺たちは先程魔物にやったように火薬を作り、俺とセージが開いたドラゴンの口の中へ入れた。
ドラゴンはそれに気付かなかったようで火を吹こうとしたため、火が口から出る前に、口内で火薬が爆発した。が、全く効果がない。「口の中で花火を起こして楽しませる作戦か?なら大成功だな。」よく喋るドラゴンめ。
また次の攻撃を仕掛けようとすると、ドラゴンは地面へ降り立ち、深呼吸し始めた。息を吸うのと同時にペリドットたちの口から何か光るものが出ていき、ドラゴンの口に吸い込まれていった。
それを見た校長先生の目からどんどん色が消えていく。「魔力が吸い取られてしまった…。気付いていたかもしれないが、やつは今まで魔法を使えないようにされていた。だが今魔力を吸い取ったことで魔法が使えるようになってしまったのだ。」
「でも、火を吹いてたじゃないですか。あれは魔法じゃないんですか?」とセージ。
「君たち、魔法で呼吸してるか?魔法で走っているか?魔法で…」
焦る校長先生をセージが止める。「すみません、何でもないです。」
「つまり、ドラゴンにとって火を吹くことは呼吸をするのと同じようなことだということですか?」
俺が聞くと校長先生は「ああ。だから魔法が使えるようになったやつは今までとは比にならないくらい強い。限界をかなり超えなければ勝てない。」と言ってドラゴンの方へ飛んで行ってしまった。
「何してるんだ…?」セージが首をかしげた。
誰かが答える間もなく、校長先生はドラゴンの口へ入っていった。
「中から攻撃する作戦かも。私たちも行こう。」
デイジーの言葉でドラゴンの方へ飛んで行こうとした俺たちチームのメンバーをエヴァンス先生が止めた。「待て!やつはちょっとやそっとじゃ中からの攻撃でも死なない。」
「ってことは…」俺たちがまたドラゴンの方を見た瞬間、ドラゴンの口の中で大きな爆発が起こった。先程とは比べ物にならない。
「校長先生は自らを起爆装置として犠牲にし、口の中に入ったんだ…。」エヴァンス先生は「彼は俺の恩師だった。」と目に涙を浮かべた。
ドラゴンの鼻から先は原型を留めておらず、血が滴っている。かなり痛そうに暴れまわっているので、攻撃は効いたようだ。
「今だ!まだやつの魔力量は少ないから、直接的な治癒の魔法は使えない。畳み掛けて攻撃をすれば、やつを倒せる!」エヴァンスはそう言うと、ドラゴンの尻尾を切り、痛そうに喉から音を出した敵を見てもう一度敵に近づいた。
切れた尻尾の断面から血を一気に吸い取ろうとした先生の胸を、何かが一瞬で串刺しにした。
「先生!」よく見ると、ドラゴンの新しい尻尾が生えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます