第41話 計測結果
4月26日 15:56
「昨日、学園で校長先生に魔力量の計測をしてもらったの。その後城でレオに魔法の練習を手伝ってもらおうと思って歩いてたら、急にワープさせられて、広場にいた。あとはさっき見たでしょ?セージがピンチなのを見て、助けた。そこまでは普通だった。でも、敵の男が笑ったとき、頭がクラっとしたの。ほんの一瞬だけど、多分あいつのせいだと思う。」
「俺はあの時怪我のせいでクラクラしてたから、分かりづらかったのかもしれない。」
「あの広場に私を連れてきたのがあの男だとすると、納得がいくでしょ?私とセージが恋に落ちるように仕組まれたの。さらに推測すると、チームをバラバラにさせようとしてきたのかもしれない。」
「一応、チーム全員同じところにいた方がいいな。」俺はアレクセイとマックをここにワープさせた。「何も起こらなかったか?なにか、変なこと。」
マックは「あ、ああ。」と眉尻を下げ、アレクセイは無言で頷いた。
「昨日色々あって、ある男が俺たちチームをバラバラにさせようとしてきているんじゃないかという疑惑があがった。だから、できるだけみんな一緒にいよう。」
今夜はみんな城に泊まることになった。城には強力なバリアが張られているため、余程のことがない限りは敵が侵入してくることはないだろう。
コンコンコン、とノック音がして、俺が「どうぞ。」というとデイジーが入ってきた。
「どうした?」
「魔力量の計測結果のこと。今校長先生から報告があったの。都合が良いときに話しかけしてほしいって。一人じゃ何だか不安だから、一緒にいい?」彼女は俺が座っていたベッドの上の、俺の隣に座った。
「ああ、いいよ。」
デイジーが校長先生の脳内にアクセスして、俺にも聞こえるようにしてくれた。「こんばんは、校長先生。デイジー・ドナシアンです。」
「こんばんは、レオ・ユルヴィルも隣にいます。」
「こんばんは。昨日の計測結果の話だね。率直に言ってもいいかな。」
「ええ、お願いします。」
「君の魔力量は、お隣のレオより少し少ないくらいだった。つまり国内2位だ。セージよりも、封印されたジョー・ギラドスよりも多かった。」
「まさか、私が…?」
「素晴らしいことだよ。こりゃコントロールには時間がかかるな。」校長先生はそう言って笑った。
「すごいな、デイジー!今まで封印されてたのに。」
「自分の魔法で怪我をしないよう、十分に気をつけなさい。では、おやすみなさい。」
アクセスが途切れ、部屋は静かになった。
俺は静かな空気をかき消すように、「なあ、デイジー。」と声をかけた。「昨日、キャシーから君たちの話を聞いたとき、すごくムカムカしたんだ。キャシーに嫉妬じゃないかって言われて、最初は違うと思ったけど、よく考えたらそうだったのかも。俺は君からの愛情に依存していた。だから君が他の人にその愛情を向けたとき、俺は嫉妬してしまったんじゃないかって。まだそれが恋かは分からないけど、とにかく、俺には君が必要だって分かったんだ。」
彼女は「もう、私のこと好きじゃん。恋じゃん、それ。」と微笑むと部屋を出ていった。
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