第38話 浮気現場
4月25日 16:54
俺が城の広場で訓練をしていると、キャシーが今にも泣きそうな顔でワープで現れた。「レオ!聞いてほしいことがあるの!」
そして俺の手を取ると俺をワープに巻き込んだ。
到着したのは、俺の部屋だった。丸いテーブルを挟んで前にキャシーが座っている。
いつものような整った顔を少しずつ取り戻してきた彼女は息を整えて話し始めた。「さっき森の前の広場で、セージとデイジーがいるところを見てしまったの。それも、好きだとか可愛いだとかかっこいいだとか…挙句の果てにはキスまでしてて…。これってもう浮気よね!?二人はそんなことしないって信じたいのだけれど、自分の目で見てしまったからにはもうどうしても信じれなくて…。それで、幼馴染みのあなたに相談しようと思ったの。」
「デイジーと、セージが…?そんな…」
「やっぱり信じがたいわよね…。ちょっと失礼。」
キャシーがそう言って俺の手に触れると、視界が一度白くなり、広場が見えた。
ボロボロで傷だらけのセージが気を失って倒れており、そばに座っているデイジーが「セージ、起きて!しっかりして!」と声をかけている。
少ししてセージは目を覚ますと、「デイジー…?」と呟いた。
「今病院に運ぶけど、痛かったらごめんね。」デイジーがセージを運ぼうとすると、「いや、ちょっと待って。」とセージが彼女の手を取った。「君ってそんなに可愛かったっけ?今君が、すごく可愛く見える。心臓がバクバクしてるんだ。好きだよデイジー。」
「私も今、セージがすごくかっこよく見える。セージ、好き。」
「ごめんなさい、私の魔力量じゃここまでしか…。でも、分かってくれたでしょう?」視界が元に戻るとキャシーが言った。
俺は、先程のキャシーの記憶を見させられていたのだ。
「ああ…。でも、セージってこんな言葉遣いするか?正直見てて気持ち悪い。デイジーは直球で言ってくるイメージあるけど。」
「あら、結構言うのね。私も彼からあんな態度は取られたことないわ。あれは詩人じゃなきゃ許されない言い方だもの。」
「とにかく、何かがおかしい。」
「ええ、そうね。セージが…」
「初めての感情だ。裏切られたような気分で、ムカムカする。分かるか?」
「それはきっと嫉妬ね。あなたデイジーのこと好きなんじゃないの。まあいいわ、二人を連れてきましょう。何らかの魔法がかかっている可能性も考えられるから。」
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