第35話 戦争を食い止めろ
4月9日 7:59
今日はいつもより早めに学校へ到着し、校長室へ入った。「先生、ご意見を聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ああ、もちろん。何かね?」校長先生は資料を見るために使っていた眼鏡を外し、こちらを見た。
「今日の午後、隣国のアルペストが攻めてくると思います。戦争は避けたいので幻覚を見せて追い返そうという作戦なのですが、具体的にどうすればいいか分からなくて。ご意見いただけますか?」
10時間後、完全復活したデイジーも含めたチームの全員が海岸の上空にいた。あの使者の視界を覗くと、海から巨大な三軍が今夜攻めてくるということが分かったのだ。もし海で戦争に勝った場合、追い打ちをかけるように陸からも攻めるという作戦らしい。
だから俺たちは、校長先生にアドバイスをもらったような幻覚を見せて追い返すつもりだ。
まず手始めに、セージが海全体に霧を出してくれた。半円状になっている海岸全体に広がっているはずだ。
そしてセージ以外の5人で幻覚を創り出していく。敵国のものよりもさらに大きな戦艦や、使者が持って来た銃の大きい版のもの、同じ構造でまた違った形をしているものなどを海岸全体に出す。
創り出し終わった頃、ボーッという敵国の戦艦の音が聞こえた。宣戦布告のつもりだろうか。それならまだ幻覚が見える位置まで来ていないのだろう。
「随分濃い霧を使ったんだな。」
俺の言葉にセージは鼻を膨らませた。「霧は濃ければ濃いほど不安になるだろ?」
俺は使者の男の視界を覗いてみた。すると男が乗っている船で騒ぎが起こっていた。どうやら俺たちの造ったものを見つけたらしい。
「何だあれは!?」
「聞いてないぞ!陛下はどうした!?」
「だから言ったではないですか、やめた方がいいって。ご覧の通り、どうしてもあの国には敵わない。」多分使者の男が話しているのだろう。
「いや、まだだ。戦艦は進ませろ。」
「陛下、ご覧下さい!」
「見えている!確かにあれは我が国より巨大だ。だが仕組みは…」
「違います!それではなくて、海です!すぐそばにサメやシャチや鯨が来ているんです!このままでは全員食い尽くされてしまいます!」
「何!?」
…何?「向こうの船の周りに海洋生物たちが集まっているらしいんだが…。」
「あ、それ私。」と手を挙げたのはデイジーだった。
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