第34話 力の差
4月8日 14:34
「使者がやっと口を割った。この国に侵入できたのは、裏切り者がいるからだ。今、その裏切り者が誰かを調べている。」セージが俺の部屋に入ってくるなりそう言った。
他国の出入りは厳しく取り締まっているにも関わらず使者が侵入してきたことが疑問になり、調べてもらっていたのだ。
「なるほど。…犯人は国境の兵隊に指示できるってことだよな?それって結構限られて来ないか。」
「ああ。城の関係者だと見て間違いないだろう。魔法のことはバレていないみたいだから、犯人の目的は分からないが。」
「そうだな…。仕方ない、使者に魔法を使ってみよう。真実を吐いたら記憶を上書きする。」
「わたしに誘導してくれた男の名前はロード・ジョンソン。自分は宰相の双子の兄で、側近だと言っていた。そいつから手紙を受け取ったアルペスト国王が戦争を仕掛けてベルシギスの領地を奪うことを決めた。手紙には、ベルシギスに侵入・攻撃するのを手伝うから、自分をベルシギス国王にしろと書かれていたそうだ。…はっ?わたしは、今、何を…?」男は目を丸くして手で口を覆った。
「本当のことを話して下さってありがとうございます。」俺はセージと同時に男の肩に手を置くと、「お送りしましょう。」透明化してからワープした。
国境に着くと、俺が男の記憶を上書きしている間にセージが馬車を作っていた。
「馬も御者もいないのに馬車を作ったのか?」
セージは馬車に寄りかかって「馬も御者もいない、勝手に動く馬車。圧倒的力の差を見せつける作戦第1段階だ。」にやりとした。
「使者の方、アルペスト国王には何と言うのですか?」
俺が聞くと、「ベルシギスには、圧倒的な技術の高さを見せられました。ピストルは古すぎて誰も知らず、巨大な武器をたくさん持っていました。戦争はやめましょう。勝てる確率は0です。」
「その通り。ではこの馬車に乗って下さい。城まで行かせますから。」
馬車が動き出すと、俺は「あと、時々視界もお借りすることになると思います。」と小さく言っておいた。
「ロード・ジョンソンだな。裏切り行為であんたを牢獄に入れさせてもらう。」
俺の言葉を合図に、セージがロード・ジョンソンに金縛りの魔法をかけ、3人一緒に牢獄までワープした。
裏切り者はペリドットではない。本気でやり合おうとすると死んでしまう可能性があるため、加減を気を付けてくれよ。そうセージに注意すると、俺はその場から立ち去った。
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