第33話 作戦会議

 4月8日 9:55

 ドアをノックし、デイジーの「はーい!」という元気な声を聞いてから部屋の中に入る。部屋を見ると、俺が一番最後のようだ。「お待たせ。」

 「じゃ、作戦会議始めますか。」俺が椅子に座ったのを確認してからセージが言った。

 「ああ。何かアイディアある人いる?」

 『・・・』俺が質問しても、みんな黙ったままだ。

 「うん、やっぱりそうだよなぁ。抽象的だし難しい問題だから。」セージがため息をついた。

 数時間休んだデイジーは少し体が動くようになったようで、上体を起こして「じゃあまずは、目標とかを決めてから具体的な作戦を考えようか。」黒板を創り出した。しかし黒板は思ったよりも大きく、彼女のベッド全体に広がってしまった。

 俺がサイズを調節してやると、「ありがとう。」と言って黒板に米印を書いた。

 ふと視線をチームのみんなに戻すと、キャシーとアレクセイとマックが目をパチパチさせたり擦ったり、腕をつねったりしている。

 「デイジー、黒板を創った…?」

 キャシーが呟いたのを聞いて、やっと思い出した。まだ彼らに伝えていなかったのだ。

 「あれ、知らなかった?昨日色々あって、デイジーがペリドットだってことが分かったんだ。まだ原因は調査中だけどな。レオ、みんなに言ってなかったのか?」

 「忘れてた…ごめん。」

 「いや、それは構わないんだけど…」

 「っていうことは、デイジーはこれからマネージャーではなく正式なチームの一員になれるってこと?」マックを遮ってキャシーが笑顔を浮かべた。

 「確かに!レオ、デイジー、もちろんそうだよな?」マックは俺とデイジーを交互に見た。

 「みんなが良ければ…でも、まだ上手く使えないの。」

 「そうだな。ある程度練習してから、正式にチーム入りってことで。それで、作戦はどうする?目標は戦争の回避だ。秘密はバレないのが望ましい。」

 「となると、どうやって相手の気を変えるかだな。」アレクセイが初めて口を開いた。

 マックは「相手の目的にも寄るよな。分かっているのか?」俺に視線を投げかけた。

 「領地の獲得のようだ。ベルシギスは自然が豊かだからな。」

 最初に手を挙げたのはセージだ。「洗脳するのはどうだ?国王とその周りだけでも。」

 次にマックが手を挙げた。「資源が目的なら、現在貧困状況にあると伝えるのは?」

 デイジーは出た案を黒板に書き込みながら、「逆に、力の差を見せつけるのは?あっちはベルシギスの技術をなめてかかってるでしょ。だからそんなことないぞって幻覚を見せるの。」

 俺はデイジーがまとめてくれた文章を見ながら「洗脳するならあっちに行かないとだし、もうすでに豊かな自然をあの使者に見られてる。他に良い案がなければ、デイジーのにしよう。」と言った。

 

 

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