第26話 文化祭
10月29日 9:30
学園の門が開き、列に並んでいたたくさんのお客さんが中へ入ってくる。
いよいよ文化祭の一般公開日となった。入学希望者や在校生の家族・友達、幼稚園の子どもたち、小学生も来てくれるようだ。
うちのクラスでは話し合いで決定した通り、体育館で仮想遊園地をやることになった。観覧車、ジェットコースター、お化け屋敷、コーヒーカップ、浮遊・または飛行体験の5つの項目を二人ずつで準備・管理する。俺はアレクセイと観覧車係になった。俺は女子と話すことが苦手だし、アレクセイは会話にあまり意味を感じていないので、あまり喋らなくてもいいものを選んだのだ。
体育館の中に入って、どのアトラクションに乗るか考えている人が増え始めた。既にアトラクションを決めて、乗ろうとしている人もいる。
手前の方にあるコーヒーカップが、今のところ一番人気のようだ。
一番奥にある観覧車に乗ろうと、男子小学生が何人か歩いてきた。「すみません、これ乗れますか?」
「ああ、どうぞ。乗ってください。」俺はそう言うとアレクセイに声をかけて、機械を動かしてもらった。体育館の屋根はあらかじめ取り除いてもらったが、安全上50mという微妙な高さになってしまったため、地上1mからはベルシギスの海岸や街並みが見えるようにしておいた。
小学生が乗り込むのを手伝い、後ろを振り返ると、10m程の列になっていた。
俺は「順番に、4人までのグループになってお乗り下さい。」そのお客さんたちの案内をし、一周回ってきた男子小学生が降りるのを手伝った。
少し休憩ができて周りを見渡すと、かなりたくさんのお客さんが体育館、いや、遊園地に来ていた。
ジェットコースター係のマックはとても忙しそうだ。ジェットコースターにはレールがなく、マックがアドリブで動かしているのだ。それが好評のようで、列が俺たちの100倍くらい長い。
お化け屋敷係のセージは最初乗り気で、たくさん小道具を用意していたが、あまりお客さんが来ないようだ。ペリドットのお化け屋敷には本物の幽霊がいるとでも思っているのだろうか。
浮遊・飛行体験係のキャシーはコミュニケーション能力がとても高いので、上手くやれているようだ。唯一の女子ということもあって、しかも顔が整っているので、子どもと男子が多い。
もしもこれが1つの国だったら、なんて平和でいい国なんだろうと思えるほど、会場が笑顔で満ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます