第25話 第二の父親?
10月5日 8:40
「今月の29日、文化祭があることはみんな分かっているよな。今日の一限目は、そこで何をやるか決めてもらう。レオ、とりあえずお前がまとめろ。席貸して。」先生は朝会の終わりにそう言って、俺の席に近寄ってきた。俺が立ち上がり前へ出ると、俺の席に座って「さっさとやってくれ。」と言った。
俺が教室を見回し、「それじゃ、何か案がある人は?」と言うと、マックが手を上げ、口を開いた。「中等部の時は何をしていたか知りたい。」
俺は「そうだな。アレクセイ、お前中等部のとき何やったか覚えてるか?」とアレクセイを見る。彼は小学生の時からこの学園にいるからだ。ちなみに、キャシーは幼児の時から、俺とセージとマックは今年からだ。途中入学した者は知り合いのペリドットに魔法を教わってきている。
「一年のときはたこ焼き屋、二年のときはミュージカル、去年はクレープ屋だ。中等部までは魔法が使えないから。」
「でも高等部からは使える。せっかくなら魔法を使ったことをするのがいいな。」と先生。
まずはセージが手を上げた。「お化け屋敷。本格的なやつ。」
「何にでも効く薬を作って売る。」
「浮遊体験。」
「好きな動物に変身。」
俺が出てきた案を黒板に書いていくと、「お前は?」とセージが聞いてきた。
「俺は…亡くなった父上に会いたい。蘇らせるのはできなくても、脳から思い出を分析すれば、疑似体験くらいはできるんじゃないかな。」
先生は少し暗くなった空気をかき消すように、「それは結構重いな!」と言った。「他に案がなければ、さっき出た案の中から決めてくれ。」
「浮遊体験だけじゃなくて、遊園地を作るのはどうでしょうか?」
今まで黙っていたキャシーが口を開くと「名案だな!それで良いと思う!」とクラスのほとんどの生徒が賛同した。
昼食を終えた後、俺とセージは職員室に呼び出されていた。目の前には、自席に腰掛けている校長先生と、その横に立っているエヴァンス先生がいる。
「僕は、君のお父上の高校時代の担任でね。生前、君について、そしてこれからについて、よく話を聞いていたんだよ。」と校長先生は話し出した。
生前父上から、校長先生の話は聞いていた。困ったら頼れと言われたのだから、信頼できる人なのだろう。
「君が国王になってから、もう一ヶ月経つ。君は、国王として最初の仕事を終えたかい?」
俺はぎくりとして、小さく首を振った。「何もできていません。でも、宰相を立てる予定です。」
「高校を卒業するまでの三年間?」
「はい。まだ俺も未熟なので、高校でしっかり学べることを学んでから、国王としての自分になりたいんです。もちろん、襲撃や魔物が出たときなどには国王としてこの身を捧げます。」
「誰を宰相にするのか決めたのか?」今度はエヴァンス先生が聞いてきた。
「魔力量の大きさが5位だった、魔法使いのクリス・ジョンソンです。まだ声はかけていませんが、議員たちと仮決定しました。」
校長先生はホッと一息つくと、「なるほど。それは良い判断だ。急かす訳ではないが、国民の意見として言わせてもらうと、君は少しマイペースなところがあるようだ。決断に困ったら、頼ってもらって構わない。セージ、君も彼の力になってあげなさい。」そう言うと校長先生は優しく微笑んだ。
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