第21話 林間合宿

 9月15日 10:03

 「林間合宿だぁぁぁぁあいっ!!」と、セージが宿に着くなり叫んだ。

 先日の緊急訓練に続き、襲撃対策としてモノセロス学園では林間合宿が行われることとなった。しかし、今回は普通科のみんなも一緒だ。魔法科は二泊三日で想像力を育て、普通科は勉強や魔法科のサポートを学ぶことになる。

 

 支度を終え、俺たち4組の生徒はすぐに図書室へ集まった。まだ読んだことのない本を読み、グループで感想を言い合う。そしてそのグループで新しい物語を作る、という授業のようだ。

 先生はチームのことを理解してくれているので、グループのメンバーはチームと同じにしてくれた。

 俺はラブストーリーを選んだ。このジャンルはあまり読んだことがないからだ。


 そして疑問を残したまま、感想の言い合いの時間になった。「他国のラブストーリーって難しいのかな?まず、何でその感情が恋愛感情だって分かるんだ?人として、友達として好きなだけかもしれないじゃないか。」

 セージはため息をついた。「あのな?それはお前が特殊なんだよ。他国のがどうとかじゃなくて、世界共通だから。」

 「本当に、人に恋愛感情を持ったことはないの?ずっとこの人と一緒にいたいとか、この人といると幸せだと感じること…その人のことばかり考えてしまうこととかない?」キャシーは呆れながらも話に参加してくれた。

 「父上…と、セージだけ…。」

 「俺お前に恋愛感情持たれてるの?」

 「まあいいわ。そのうち分かるわよ。」

 「なんかごめんなさい…。あ、まだ気になったことがあるんだ。どうしてこの本に出てくる魔女は、優しさではなく愛を学ぶことを王子に望んだんだろう?」

 俺の言葉に、グループの全員がため息をついた。


 午後7時になり、林間合宿に来ている全員が広場に集まった。目の前にある舞台で、これから音楽の演奏や、ダンサーのパフォーマンスなどが行われるのだ。4組に対しては想像力を発達させることが目的だが、他のクラスに対しては完全に娯楽だろう。

 軽快できれいな曲調の音楽に合わせ、ダンサーが踊る。舞台好きの父上の影響で何度も見たことがあるが、確かにこれは想像力を発達させられる。使う魔法の幅も広がるだろう。

 次に、年寄りの男性が舞台に座り、話をし始めた。聞くと、他国の魔法がない世界の話で、ラブストーリーではないようだ。良かった。

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