第9話 やつらの再来
8月30日 8:02
国中が緊張と不安で満ち溢れている。この前の襲撃とは比べ物にならない。
「被害は?死者は出ているのか?」俺はモノセロス学園に向かう途中、一緒に空を飛んでいるセージに聞いた。
「怪我人はたくさんいるが、死者は今の所いない。まさか魔物を連れてくるなんて。」
8月30日 4:46
城の地下牢で、ジョー・ギラドスがキラージャックの入った箱の封印を解こうとしている。しかし、国の中で一番強い、国王の魔法は絶対に他人にはとけない。ジョーは諦めて箱を持ち出し、森へ飛んでいく…。
俺はこれをリアルタイムで見ていた。しかし自室で眠りながら、金縛りにあった状態で。夢を見ているような感覚だった。金縛りが解けたのは約3時間後の、7時35分。ジョーが森から魔物を引き連れてから、5分が経っていた。
ジョーは早朝の出来事を俺とセージの脳内に送り、森へ戻って魔物を集めた。悪の魔法使いは極稀で、現在はキラージャックとジョーしかいない。そのため、今、ジャックが国を混乱に陥らせるために頼れるのは、魔物だけなのだ。ちなみに、先月モノセロス学園に魔物を送り込んだのも彼だ。
「相手はキラージャックより弱い。国民や国を守ることに徹しろ。」父上はペリドット全員にそう命じた。
学園にはエヴァンス先生の「魔法科の生徒は全員、国民が避難できているかの確認や救出をしろ。しかし必ず3人以上で行動すること。」という指示によってか、生徒はあまり見当たらなかった。
俺たちは、ほぼ同時に学園に到着したキャシーとともに行動することにした。セージとキャシーがいい感じなので少し迷ったが、今日はスルーしておこう。
俺は「沿岸部がまだ人数不足らしい。俺たちもそっちへ行こう。」と言うと3人で学園から飛び立とうとした。…が、急に体が動かなくなった。また金縛りか。
どうやらセージも金縛りにあっているようで、動けるのは3人の中ではキャシーのみだ。また朝と同じ手にあってしまった。
次は急に大地が揺れたかと思うと、城の大広間にテレポートしていた。隣にはセージがおり、後ろにいるジョーと向かい合うように、前には父上がいた。
金縛りがとけたので後ろのジョーに向かって攻撃を仕掛けるも、俺の攻撃もセージの攻撃も交わされてしまい、さらにまた金縛りの魔法をかけられる。金縛りの魔法は簡単なので、魔力量があればあるほど強い魔法と変化してしまうのだ。
いつの間にか俺とセージの喉元にはナイフが突きつけられていた。
「この箱の封印を解き、キラージャック様を解放しろ。さもないとこいつらを殺す。」ジョーが父上に脅しをかける。多分こいつは俺より弱い。が、セージよりは強い。人質を俺だけにした場合、俺に力で負けると作戦が崩れてしまうのだろう。だから単純な力比べをした時自分よりも弱いセージも連れてきた、というところか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます