第7話 無口な彼

 6月1日 15:11

 「では、今から中間テストの結果を発表します。魔法もやらなくちゃいけないからっていう理由でこんなに平均点って下がるもんなんですかねぇ…?」エヴァンス先生が敬語を使うときはご機嫌ななめな時だと、最近分かった。

 中間テストは、他のクラスは筆記のみだが、うちのクラスだけ魔法実力テストが含まれる。また、ペリドットであれば面接を受けるだけで簡単に入学できてしまう。そのため平均点は、頑張って受験勉強をしてきた他クラスよりかなり低い。

 

 入学して2ヶ月が経とうとしているが、なかなか新しいチームメイトは決まらない。この中間テストで一番良い成績を出した人がいたら、その人にしよう。あと3人、今年中に決めなければならない。スピードアップだ。


 「ユルヴィル。」先生に呼ばれて評点表を取りに行った。筆記は平均点ぴったりでクラス5位。実技は1位。全体は3位という結果だった。

 「アレクセイ、どうだった?」俺の右隣にいるセージがさらに右隣のアレクセイに聞いた。

 「筆記1位、魔法3位、全体1位。」彼は淡々とそう言って、また評点表を見返した。

 彼にしよう。そう思って俺は「アレクセイ。後で話がある。放課後、教室で待っててくれ。」とテレパシーを送った。


 「別にいいけど。」俺からチームの話を聞いたアレクセイが言った。乗り気ではないように聞こえるが、彼はそういう人なのだ。話す言葉は最小限に抑えている。

 「よし!じゃあ、みんなで一緒に帰るか。色々これからのことも話したいし。」俺の隣にいたセージが言った。


 「ふーん、あと二人必要なのか。」下校途中、一通りチームの話し聞いたアレクセイが言い、「で、君は?」とデイジーを見る。

 「私はマネージャーのデイジーです。よろしくお願いしますっ!」

 「ふーん。で、彼らは?チームの仲間だよな…?」アレクセイは前を歩くセージとキャシーを見た。

 「あ、うん。何か最近仲良くてさ、あの二人。」まだ付き合ってはいないけど。

 「ふーん。」

 「アレクセイは、そういう、恋愛とかって興味あるの?」何とか会話を続けようと俺が聞くと、「ない。」という返事。性格は理解しているつもりだけど、やっぱり言葉が少ないと傷つく…。

 

 このドアの前に立つと、いつも緊張する。当たり前だ。自分の父親は国王であり、国王は父親なのだから。

 三回ノックをしてから「失礼します。」と言って部屋に入る。これもまた、いつものことだ。

 父上にテストの結果とアレクセイのことを報告すると、父上は「お前のクラスには十人しか生徒がいないのだろう?一人はこの前襲撃してきたジョー。もう一人はまだ明らかになっていない。その人物が敵である可能性は高い。早めに決めておけ。」とだけ言った。

 

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