第6話 女神なのか?
4月9日 10時41分
「なあデイジー、君のストライクゾーンは女子にまで及んでたりする?」ボールを投げる美少女に見惚れながら、セージは言った。
「失礼な!ボロボロの女の子なんて痛々しいし可哀想でしょ…。まあ、強くてかっこいい女の子にボコボコにされてるかっこいい男の子は好きだけどさ?」
「それは良かった。デイジー、彼女と友達になってくれるか?くれぐれも本性は出すなよ。好きな男のタイプとか絶対話すな。ただ、聞いてくるのは良し。お互いに自己紹介して、雑談して、帰って来い。」そう言ってセージは俺の手を取り、「俺たちそろそろだから。」と言って走り出した。
「見ろ、天使が微笑んでる。」デイジーに話しかけられ、何かを話している美少女を見てセージが言う。
「次、セージ・リュカ。」先生が名簿を見ながらセージの名前を呼んだ。
デイジーは美少女にセージの話をしたようで、二人とも彼のことを見ている。
彼はそれに気付いただろうが、知らん顔でボールを投げた。そして「40m!」と測定係の声を聞くと、美少女をチラッと見てウインクした。
数分後、全員のソフトボール投げの測定が終わり、セージと俺はデイジーの元へ戻った。
「彼女の名前はキャシー。キャシー、こちらレオとセージ。」デイジーは美少女を俺たちに紹介してくれた。
「よろしくお願いします、レオと、セージ。」キャシーはそう言って微笑む。
「け、敬語じゃなくて、大丈夫、です、よ…。」俺は女子が苦手である。
キャシーはクスッと笑うと、「でも、あなた国王陛下の息子さんでしょう?」と言った。
「やっぱりそうなんだ。」というデイジーの声は誰にも拾ってもらえなかったが、俺は「それでも、敬語を使われるのは、ちょっと…。」と言った。
「分かった。タメ口にするね。」キャシーは分かってくれたようだ。
「よろしく、キャシー。」さっきまで黙っていたセージが片手を差し出した。
キャシーはその手を取ると、「ソフトボール投げ、得意なの?」とセージに聞いた。
「彼女すっごく良い子だった!それにね、セージのことかっこいいって言ってたの。好きなタイプは、男らしくてかっこいい人だってさ。頑張ってね、セージ!」放課後、デイジーは新しい友達のことをウキウキしながら話していた。
「で、で?後は?何か話した?」セージも子供のようにはしゃいでいる。
「えぇーっと…入学理由は、魔法使いになって自分のことは自分で守れる、かっこいい女性になりたいからなの。ペリドットのお母さんが"塵も積もれば山となる"っていつも言ってて、毎日コツコツ頑張っていけば、きっと強い魔法使いになれるはず!…だってさ。私の好きな言葉は"万事休す"だよって言ったらちょっと引かれちゃったけど、チームのことには興味を持ってくれてるみたい。」
「女神か?彼女は女神なのか???レオ、俺脈アリかなあ?」
「俺はそういうのよく分からん。かっこいいって言ってたら脈アリなの?」
「完璧に脈アリとは言えないかな。ただかっこいいって思ってるだけの場合と、好きっていう場合があるから。」
「二人とも、俺の恋応援してくれよな!頼むぜ!」セージはますます闘志を燃やしていた。
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