第3話 新しい敵

 4月7日 9:52

 以前のキラージャックの襲撃から国民の避難場所となったモノセロス学園。この春、俺はここに入学することになった。

 入学式まであと8分程度だ。


 「来月お前が入学する学校、モノセロス学園でメンバーを見つけろ。魔法科は一クラスしかないから、探し回るほどではないだろう。セージのこともチームに入れたいんだろ?だが、入学式の日まで待て。それまでにこちらで準備して、チームの成立を確実にする。」


 魔法科のクラスに集合した新一年生を見渡して、チームのメンバーとなる人を探してみる。…が、全く分からない。ここでは緊急事態以外は勝手に魔法を使ってはいけないため、魔力量すら見れない。仕方がない、徐々に実力は分かるだろうし、今日全員決めなくてもいいか。


 「うぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!何それ、かっけぇ!」入学式が終わり、下校中。俺からチームの話を聞いたセージは、とてつもなく嬉しそうに目を輝かせている。「で?俺も入っていいんだよね?幼馴染みだもんな???」

 「もちろん。喜んでくれて良かった。で、つまり入ってくれるんだよな???」

 「もちろん!くぅぅぅ、新メンバー誰になるかなぁ、楽しみだなぁ!」

 セージが目を輝かせて、俺がそれを母親のような目線で見ていた時、真後ろで大きな爆発音がした。

 俺とセージが音に反応して振り返った先には、知らない少年がいた。大きな木の枝に立っている。多分俺やセージと同い年だろう。4個上や4個下には見えない。爆風で真っ黒な髪が揺れている。

 「何だ、お前?」さっきまで子供のようにはしゃいでいたセージがドスの利いた低い声を出して威圧する。

 「俺の名前はジョー・ギラドス。これからお前たちを殺す男だ。覚えておけ。」

 セージの「あ?」という一言をかき消すように、ジョーはセージに向かってビームを出した。

 しかし、セージが防御の体勢を取るより先に、俺は鉄の盾を出して防御した。「ゔぅっ…。」やはり即興で作った鉄の盾じゃビームは貫通してしまうようだ。俺の右肩にビームがかすり、血が出てしまう。

 それを見たセージはジョーを念力で操り、遠くの森に向かって飛ばした。「大丈夫か、レオ?」

 俺は上体を起こすと「少し右肩をやられたが、大丈夫だ。」と言った。

 途端に後ろから何かが飛んできたかと思うと、俺が振り向く間もなく硬い金属の塊が俺の後頭部を直撃。だんだんと薄れていく意識の中覚えているのは、セージが空中の何かに向かって長い槍を投げたところと、「うっ…」といううめき声、「今日はまだ序章だからな。これからを楽しみに待っていろ。」という声が聞こえたことだけだった。


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