狂愛編
夢みる夢の中で
「ただいまー」
帰りを知らせる誠四郎の声が木霊する。
しかし、返答が帰ってくることはなかった。
何かあったのではないかと思い浮かべる女性に心配の念を送りながら、リビングに向かうと、
その弾丸は、突如として突っ込んできた。
「せーちゃーーーーーん!」
「せーちゃん」と呼ぶその人物はキレイな直線を描きながら、誠四郎に飛び付く。
「と、透華!?」
戸惑う誠四郎。それでも、その刹那的な間で、受け止める体勢をなんとかとる。
「ごふっ!」
見事、誠四郎は透華を受け止めてみせる。しかし、衝撃は思いの外強く、疲れた体に鞭をうちながら何とか軽くよろけるまでに届けた。
「と、透華、苦し…。」
仕事帰りで疲れた体を強く抱きしめている透華にやめるよう注言する。
「お帰り!せーちゃん!」
それなのに子供のように笑顔を浮かべる透華に誠四郎はお手上げとばかりに苦笑する。
「ただいま、透華。」
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夢ではないだろうか、幸崎透華は毎日のように思う。
この人を裏切り、傷つけ、飛び降りるまでに追いつめた私がこの人と一緒に過ごしていることが。
だからこそ怖い、この人と関わることができなくなってしまうことが。恐ろしいほどに。
実際、一緒に住んで暮らしているし、頭でもそれを理解している。それでも、怖かった。夢ではないかと思う。
だから、包容で確かめる。確かに誠四郎はここにいると。
「せーちゃん、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる。」
そう呟きながら誠四郎の胸に顔を擦り付ける。
帰ってきたばかりで疲れているだろう、それでも誠四郎は笑って応えてくれる。
「僕も、愛してるよ透華。」
そんな私の頭を誠四郎は優しく抱き締めながら撫でてくれる。
誠四郎の優しさが私の不安を溶かしてくれる。
毎日の不安と幸福の泥沼のなかで、私の心を何かが蝕む。
『愛してる』
「せーちゃん、チューしよ?」
『愛してる』
「うん、僕もしたい。」
『愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる。』
「んっ、ん、はぁはぁ、んっ、ん、ん」
『愛してる』
「ん、んっ、ん、ぷぁぁ。」
脳が蕩けて、心が未知の色に染まっていく。
「せーちゃん。愛してる。」
「僕も世界一愛してるよ。」
そう言って笑いかける誠四郎に頭が埋め尽くされていった。
私は、夢を見ている。小学生からの夢の中で、心を愛に染めていく。私の本物の慈愛に。
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あとがき
おはようございます。もしくはこんにちは。またはこんばんは。
Sニックです。最近、原神をしているのですが、甘雨可愛いすぎませんか?私の推しです。
皆さんは原神のなかで、誰が一番すきですか?教えていただければ嬉しいです。
それはさておき、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。皆さんの支えに私も感謝しています。
誤字脱字 改善点をありましたら、指摘よろしくお願いします。
それでは、また。じゃあねー。
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