解体
オレは活発的でいたずら好きだった。人を驚かせて人の反応を見たり、運動をしたりして。楽しく過ごしていた。
そして、楽しみはそれだけじゃない。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。今日ね、あおぐみさんの花ちゃんとお友達になったの!」
そう、弟、天心の保育園での話だ。
今日は友達ができた、今日は友達がこういっていた。等々、この年ではあまり変わったことはないのだが、嬉しそうに話す天心を見るのが何より好きだった。
そして、先程の話へ戻る。今日の天心の話は、今日も友達を作ったこと だ。
実はこの三年間、ちょいちょい新しい子と友達になった話を聞いている。
今、天心は保育園三年目で、最年長の白組さんだ。組で人気だったとしても、人数に限りはある。
対して、この三年間友達ができた話は途切れていない。
普通そんなことはない、いくら保育園児でも、ある程度の同い年の遊び相手ができれば、友達は作らなくなる。
しかし、天心に年齢など関係ない。喧嘩してたら仲直り、誰かが悪さをしても、空気に溶けたように不満がなくなっている。
今ではいざこざも少なくなって天心の話からも聞かなくなった。
不思議に思いながらも、やはり天心は凄いと誇らすくなる。
「やっぱオレの天心は凄いな!」
そう言って、天心の頭を撫でる。
「エヘヘ」
くすぐったそうに頬を染めて喜ぶ天心。
日々を重ねるごとに、変わらない当然がオレの体に浸透していった。
そんな美しい過去は、訪れる現実によって、歪んでいく。
―――――――――――――――――――――
二週間前。
今日は、家族三人で、天心の誕生日を祝う日だ。
お父さんを早くに亡くしてから、母のて一つでオレと、天心を育てていたため、経済的に、祝うことができなかった。そのため、最初の誕生日祝いで天心は、この日を凄く楽しみにしていた。
そして、オレも用意していたサプライズの玩具を渡すのが凄く楽しみだった。
「お母さん、行こ!行こ!」
急かす天心。
「分かってるよ――よし!」
靴紐を縛り終え、玄関を開ける。
「天心、最初はどこがいい?」
「えっとね?えっとね?ゆうえんちがいい!」
「じゃあ、遊園地に出発ー!」
「「おー!」」
それから、ジェットコースターだったり、お化け屋敷だったり、空中ブランコだったりで大抵怖い思いしかしてなかったが、オレも天心も全部初めてのことで本当に楽しかった。
車に向かう途中だった。
夏で有名な遊園地と言うこともあり、昼になっても人の大流動は止まない状態だった。
それでも、オレ達にとって初めての遊園地で、終った頃には不思議な達成感に浸っていた。
油断していた。
人混みのなかで、三人で手を繋いでいるからと気を緩めていた。
車の駐車場に着き、オレは天心がいないことに気づいた。
「お母さん待って、天心がいない。」
「嘘、さっき手を繋いでたじゃない。取り敢えず、探しに戻るわよ。」
それから、オレとお母さんは天心を必死に探した。
「天心ー!」
なるべく大声で叫んぶ。
「いたら返事してくれー!」
「天心ー!」
「お兄ちゃーん」
小さくか細い声が聞こえる。
「天心!」
人混みの中を抜けだし、ついに弟を見つけ出す。
小さな姿に胸を撫で下ろす。
「お兄ちゃん!」
「お母さん!天使いたよー。」
神様とは理不尽なものだ。
いたずら好きなオレでなく、優しい弟が死ぬなんて、理不尽だ。
そして、死の天秤は傾く。
ドン と音がする。
前を向いた時、天心の体は飛び出ていた。
横には車が走っている。
小さな体はいとも簡単にふっ飛んだ。
きぃぃぃぃぃぃぃぃ。
「天心!」
回りが騒然とするなかで、オレとお母さんは天心にすがるように声をかける。
「天心、死なないでくれ天心。」
「天心、天心。」
天心の体はピクリともしない。
オレは天心のプレゼントを取り出す。
天心の大好きなおもちゃだ。
「天心、ほらこれすきだろ?プレゼントなんだ、たがら、だから目を空けてくれよ!」
「天心、ほらお兄ちゃんがプレゼントだって!ね?だから目を覚まして。」
「事故です!ここは――――」
救急車を誰かが呼ぶ。
暫くして、救急車の音が近付いてくる。
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病院についてしばらく。
先生から告げられた言葉は残酷なものだった。
「残念ですが、息子さんは息を引き取りました。」
帰り際、赤い信号がオレを嘲笑う。
「お前のせいだ」と。
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あとがき
まず、読者さんに遅くなり申し訳ございません。
思った異常に時間がなく、遅くなってしまいました。
いいわけになってしまうのですが、私もオタクのため、ゲームのイベントに追われていました。
ちなみにゲームは原神です。あ、試験もしっかりありましたよ。
毎回、私のような駄作を読んでくださる皆様には、頭が上がりません。
それでは、誤字脱字 改善点がありましたら。指摘お願いいたします。
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