第6話『帯刀義務』
「チ―フ、どんな感じ?」「はい、3日かもつか、もたないかという感じです」「3日?来客数はどう予測しているの?」「いままで通りの来客で……」「そんなん入るわけないやん。入ったらキッチン回るの?」「いえ、回りません」「ホ―ルも無理」「1週間、今のメニューで走って、その間に次のメニューを考えるしかないんじゃない、できなきゃ店は閉める」「はい」「それで行きましょう」
いつからどの時間帯からオ―プンするか、カプチーノ飲みながら思案中。A.B.Cダイニングがあって一人づつ休憩回ししたら1:30かかる。その時間帯は3人で営業しなければならない。取らぬ狸のなんとかではないが順調に来客があれば少なくとも3名は新たに採用しなければならないだろう。そうすればトレ―ニングしなければならないし、修羅場は暫く続くと考えるしかない。女の子たちはあの部屋がいい、こっちがいいと騒がしい。
「すいません。宅配便です」私が出ますと言って向かった。「これ、刀です。7本で間違いないですね」 「刀ってなんだよ。どうするんだよ?」「お客さん、現世からですか?」「現世だかどうだかわからないけど突然来たんでわかりません」「これはお気の毒に。現世でなにかやらかしたとかで?」「身に覚えないし、私一人ではないでしょ?」「まあ、私は届けるまでが仕事なのでこれで失礼します。ありがとうございました」
「刀・・・どうするの?ぶらさげとけばいいのかな?だれに聞けばいいの?市役所?厚労省、あ!」こちらの世界に来て、テレビも見てないし、新聞も読んでない。駄目だ。僕のライフラインが止まっていた。
お金は使えたらしい。しかしこちらでは99%キャシュレスで指紋認証でことたりるらしかった。会計どうしよう。レジはリ―スで探すしかない。一人ぶつぶつ言いながら新聞を買いに行った。新聞はあるのかよとまた一人ぶつぶつ言いながら帰った。
やはり管轄は厚労省で手続きは市役所に落としてるみたいだ。刀・竹刀課に連絡してみた。「はい、刀・竹刀課です。どうされましたか?」「今日、刀が届いたけれども扱いがわからない」「はあ、鞘から抜いて相手を頭から叩き切る……」「そうじゃなくてこれを付けておくことは義務ですか?」「当然です。でなきゃ何を根拠に……」「なぜ帯刀しなければならないのですか?」「義務だから……」電話を切った。「だめだこいつ。話にならない。違反した場合の懲罰もわからない。「申し訳ないが今日からぶらさげてもらっていいかな?」みんなしら~としていた。刀を手にして「ハ、真剣ではない」ことに気づいた。私は剣道3段だ。真剣を持ったことぐらいある。「タケミツだ。それにスマホを連想させる機器も内蔵していた。お~い、これスマホっぽいぞ!」「わ~い、やった~、落ち着く!」と女の子たちはうれしそう。「なぜ刀なのか?」「む?」新聞の日付を見返した。西暦だけ確認していた。(慶応154年)「うそだろ。江戸時代かよ!」
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