あるホテル

バブみ道日丿宮組

お題:恐ろしいホテル 制限時間:15分

あるホテル

 死んだ人に会えるという潰れたホテルがあった。

 その噂は学校の中を巡るに巡って、たくさんの人が肝試しを行った。仲のいい友だちも何度か足を運んだと自慢気に話してくれたものだ。

 それで死んだ人に会えたのかといえば、わからないって話だった。

 たくさんいった人間の中に霊感があるやつがいなかったというのは驚きだ。

 そうすれば、すぐに幼い少女の霊と会うことができただろう。

「……楽しかったか」

 頭のない少女の表情は読めない。言葉にしてくれないと理解できないのは人間も一緒だ。

『うん、いろんな人に会えた!』

 幽霊という存在はわざわざ口を動かして声を出さない。いわゆるテレパシーのようなもので直接脳に信号を送ってくる。

 テレビなんかのホラー特集で、よくジーという音が鳴ってるのがまさにそれ。分かる人が近くにいれば、解読することもできただろうが、カメラにとった映像はノイズとして保存されてるため、理解することは不可能だ。

『でもね、最近へんなグループが集まるようになっちゃって、ゴミがね。たくさん捨てられちゃってるの』

 少女がいうように前きた時はみなかった空き缶やら、弁当箱、スナック菓子のゴミが散らかってる。スプレーで書いた文字が壁にもある。

「……そうだね」

 掃除してもいいのだろうけど、潰れたホテルというのはもはや人が使うことはない場所。そんなところをキレイにしたところでなんも意味がない。

『大丈夫だよ、お兄さん。私たちはなんも不便に思ってないから』

 沈黙が苦悩だと思ったのか、少女が言葉を送ってきた。

「脅かしたほうがいいかもしれないね。そういうの得意なこはいるの?」

『おっきな手のこはいるよ。でも、でもね。動けないの。手だけだから』

 手の幽霊か。どんな未練を残してそうなったのだろうかと、思わず思考が走ったが改める。

「そのこの手を持って、背中にばしってやればいいかもしれないね」

『面白そう!』


 そうしてその日をさかいにして、ホテルに近づくと謎の手形が背中につくと言われ、あまり人が寄り付かなくなった。

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あるホテル バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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