19話
・注意・
此方の話はやや18禁です。特に読まなくても支障が無いようになっております。苦手な方は次回から読むことを推奨致します。
エロが書きたかったんだよ…。
※ ※ ※
「う、ん…?」
ゾクゾクと背筋に理解不明の感覚が走る。
抑制剤の影響か、覚醒しきっていない朦朧とした思考の最中、『誰か』の気配を感じる。その気配の主は布団の中で眠っている僕の手を触り、次に首元に近寄りスンッと匂いを嗅がれる。
うーん…犬、じゃぁないよねぇ…。
犬ならばもっと鼻息もするだろうし、何より犬特有の獣臭さが感じられるはず。
…多分。
犬は飼ったことが無いからどうかわからないけど、小学生の頃友人だった友がそう言っていた気がする。阿須那父さん達が離婚をし、引越やらナニやらがあって疎遠になってしまったが彼は元気だろうか。元陽平父さんのお母さんとお父さん…僕にとっては唯一の祖父と祖母となった人達が住んでいたこの家は彼方此方改築し、少ししたら犬や猫を飼っても良いと許可を得てはいたが結局自身のヒートやら新しい環境やらゴタゴタしていて時間が無く、まだ一度も飼ったことが無い。
という事は猫、とか?
僕この部屋に入った時にうっかり窓を開けっ放しにしてしまっていただろうか。
開けっ放しの窓から何処かの飼い猫か、それとも野良猫さんが気ままに侵入しちゃったのかも知れない。それなら触りたいなぁ。もふもふと柔らかい毛を堪能してみたい。
そう言えば猫さんはお布団の匂いがすると何処かの漫画で読んだことがあるけど、あれは飼い猫だからかなぁ?それに猫によっては濁声だったり甲高い声だったりすると書いてあった。
ますます見てみたいし、鳴き声を聞いてみたい。
それにも関わらず、僕の感情は放置されたまま、未だに抑制剤の副作用が解除されないらしく、身動きが取れない。というか…これ、夢かも。
夢なら僕の手足動いてくれないかな~、僕猫さん抱っこしてみたい。一度もしたこと無いんだよね。都会の猫って警戒心強いから、偶に街角で見掛ける野良さんなんてササッと逃げちゃって遠目にしか見たことがない。
田舎の猫さんも滅多に見たことはないのだけど。
触りたいなぁ。
尻尾とか触れてみたいし、肉球も触ってみたい。
色とか何色なのかなぁ、王道の桃色?それとも黒?ぶち柄とかもあるよね。猫さんの柄だって確かめてみたい。髭ってどうなっているのかな、白いのかな?黒いのかな?根本だけ黒い猫さんもいるって言うし、どうなのだろう。
爪だって先端が尖っているのかな?
いやいや、もし夢なら贅沢にワンちゃんと猫さん、それとウサギさんに鳥さんも居てくれないかな?
贅沢な夢になっちゃうけど、度重なるヒートとか事件とか学校とか宿題とかラッシュで来ているので、ここらで僕に癒しを与えてくれないかなぁ。
フッ。
「ひっ」
今、いまっ!片耳に生温い風がっ!
もしかして吐息!?耳元に何かの生き物がいるの?
そう言えば体温を感じるような、そうで無いような、微妙な感じがします!
ワンちゃんとか猫さんとかじゃないの?
誰か、いるの?
うう、やっぱり身体がまだ寝ているのか身動き取れないし、瞼も開かないし声も出せないよ。
とか思って居た時がありました、はい。変な言い方ですよね。
だって、今、人間の指の感触がして、その指がツツ―と…あの、僕の背中に一本線を引かないでくれませんか。変な声出ちゃうよ!
「ッ!」
今まで動かなかった頭がヒクンッと震える。
あ、やだやだ、そこやめて!背中から徐々に腰から下に、僕の二つに割れたお尻から下…
「ひゃう!」
あ、あれ、え?なんで?
僕もしかして下何も履いていないの?下着の感触も寝間着のズボンの感触も何も無い。あるのは敷布団とシーツ、それと僕の下半身のお尻をやわやわと揉む感触と一本の指の感触。
え、これ、これって痴漢されているってこと?
でも僕今目を閉じていて、って言うか誰!?誰が触っているの!?
「やだぁ!」
混乱していたら、僕の下の口付近を誰かの指に撫でられる。
うう、何これ何これ何なの!?
そして声出たよ!さっきまで変な声しか出せないと思っていたのに、ああでもまだまともに言葉が出て来ないみたいで、口から「はふはふ」した息が何度も漏れている。
「う、うぅ…。」
僕のお尻を片手で揉んでいる手が時折握り潰すように強く揉んだり、柔らかく揉んだりと繰り返し、その度に妙な声が口から漏れる。いや、ほんと何コレ。これが夢っていうこと?
何だか妙な気分になる。というか、下着。パンツ履かせてよ~。
三枚で千円(税抜)の安物トランクスだけど、縁(フチ)の青い色が気に入っていて数枚同じのを購入したのに何で履いていないの。更には…
「ひゃあ!」
ペロンと僕のお尻!お尻が舐められた!
やだ、ヤメてくれー!
やっぱりコレ夢だよね?ね、ね、ね?だったら覚めて!お願い僕起きて!
ぺろんと舐められた所から舌?かな?が徐々に下がっていって大事な蕾付近を丹念に舐められ大慌てで首を振って嫌がるが、身体の中で動くのは首と口だけと言う残念仕様状態。
「いや、ヤダぁ、お願いやめてぇ…っ」
それでも嫌だとお願いをしたら、舌が僕の肌から離れていった。
ほっとしたけど、でも片方の手らしきものは僕のお尻を掴んだまま。
うう、これも外してよ…。
目、開かないし誰だか確認出来ないし。相手の声も聞こえないのにこんなのって嫌だ。
「こんな、の、好きな人以外は嫌、だ。夢でも嫌。ヤメてくれ。」
今はまだ好きな人も居ないけど、でも、それでも。
夢でもこんな風にわけが分からなくなる行為をされるのは嫌だ。
だって僕は好きな人が欲しいから、将来一緒に歩んでいける人が欲しいから探すために学園に入ったのに。オメガだからって社会的に地位が低い状況が改善しつつあって、比較的自由に仕事につけるようになったけど、それでもまだ元祖母のように嫌悪する人がいる。
「[会えた]。」
え。
ぴくんっと身体が震える。
会えたって、え、やっぱり夢、だよね?
だって僕は抑制剤の副作用で眠ってしまっているみたいだし、それについ先程まで父さん達の腕の中に居たのだから。それが、どうして。
「あ、あ…。」
身体が勝手にぷるぷると震える。
先程の、人の声、だよね?忘れもしない、皇さん。
同時にあの時感じが威圧のような気配に更に身体が強張り震える。
怖い、怖い、すごく怖い。でも。
ツンと貫く圧迫感が僕の心に棘のように突き刺さる。
どうしてそんなに周囲に威圧を掛ける?
もしかしてソレが彼にとっての普通のこと?常に纏っていないと生き抜くのが辛い世界に彼は居るのだろうか?それとも、αだから?
僕、僕は、そういう世界を肌で感じたこと等一度だって無い。
もし、彼が僕の運命なら。
慣れないと、駄目、なのか。
でも運命でも、「好き」になるかどうかはわからない。
僕、次第。
惹かれるかも知れないけれど、僕の心はどうなるかはわからない。
何時の間にか触れるのを止めたのか、つい先程まで僕の尻を掴んでいた手まで離れていた。そして、父達と同じように躊躇ったかのように少し間があってから僕の頭の上に人の手が乗った。
「…?」
その手が徐々にゆっくりとではあるが、下に降り、また乗ってから下に降り。
「撫でられている?」
その声に答えるように何度も何度も優しく撫でてくれる。
これ、ちょっと気持ちいいなぁ。
出来たらパンツ履きたいけど。せめて何か下半身だけでも良いから隠したい。
「ねぇ。」
頭の上に乗った手がピクリと動き、そのまま停止する。
聞く体制って態度かな?
「もう少し待って。僕、まだ君のことをよく知らないから、身体からの関係は出来ないよ。」
高校生なのに初恋もまだだよ、僕。
ヒートがあるオメガだけど、僕はもっともっと色々なことを知って、君が住む世界を知ってからじゃないと動けないし判断出来ないみたいなんだ。
そう言ったら、「ふ」と笑ったような息が漏れて―…
「待っている。」
ジリリリリリリリリリリリ…
「うわぁ!?」
ガバリと飛び起きると、僕は何時も寝起きしている自分の部屋のベッドの上。
「へ?え?ふえ??」
素っ頓狂な声を出してしまったけれど、安堵する。
というか、あの、ねぇ…。
「リアルな夢だったなぁって、あーやっぱり。」
僕も一人の男なのであって、唐突に小山を作っている箇所に溜息が漏れる。
何なんだよ、もう…。
家の中だし、父さん達が下に居たら風呂場に行って処理するのもトイレも使えない。
何だか賢者タイムだよなぁと思いつつ、何度も吐息を吐くことしか出来なかった。
※※※
皇「うわぁ!?な、な、な…凄いエロい夢みてしまった……。」
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