弱蟲のムカデは…

赤青黄

生き返る

 鳥が寄生虫により向う見ずに飛び続けている残酷な薄汚い空、虫たちがうごめき水面が見えなくなった海、風は弱い虫を運び生態系を調節する

 こんな何気ない日常に俺は飽き飽きしていた

 「昆虫儀式が終わったからって何呆けてんだ」

 俺が小さな虫をつぶしていたら後ろから聞き覚えのある声が聞こえた

 俺は弱虫を海に放り込む海を支配拠点にしている昆虫たちは我先にと弱虫を食い破る

 俺は後ろを向くと笑顔を向けてくる男が立っていた

 俺は何か喋ろうと口を開こうとすると顔面に強い衝撃を受けた

 どうやら俺は蹴られたらしい顔面の皮膚がヒリヒリと共に鼻に水が入ったかの様な感覚もおまけに付いてきた

 「何でお前なんかに…」

 同級生は何かを呟いた後に俺に背を向けて視界から消える

 俺は衝撃により海に落ちる

 海虫達は久しぶりのご馳走だと俺の体の肉をむさぼり食う

 皮膚に小さな穴が無数に空き体内に向かって小さな虫が入り込んでくる

 皮膚は強酸で溶かされながら舐め取るかのように喰ってくる体内からは昆虫達の羽音が響き渡る

 体中が痛いでも助けを呼ぼうとしたが喉がいつの間にか無くなっていて骨しか残っていなかった

 ああ~せっかく喋ろうと思ったのに

 何だが眠くなり眼球の隙間から脳に侵入する昆虫を引きずり出しながらゆっくりと目を閉じた

 ふわふわと浮かぶ感覚がある

 カサカサと何かが動く音が聞こえる

 この感覚前にどこかで…

 「…ぶか…じょ…」

 誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる

 いや俺を呼んでいるのかはわからないがしかし誰かが俺を呼んでいる

 そのことを願いながら目を開けると天井には蝶の模様が書かれていた

 何で天井なんかに蝶を…

 「あ、よかった…」

 隣で聞き覚えのある声が聞こえた俺は顔を傾けると口元を抑えながら赤い目元と共に涙を拭く俺の母親が隣に座っていた

 「…」

 俺は何かを喋ろうと口を開こうとするしかし母親が突然飛びかかって来た

 息子が生きていて嬉しいのだろうしかし

 苦しい…首が閉まっている

 トントンと母親の背中を叩き苦しいと合図を送る

 母親はどうやらその事に気づいたようで俺の首元を閉めるのを辞める

 「よかった、もう次からは気をつけなさいいつもボーとしてるから海に落ちるのよ」

 母親のうるさくありがたい説教が始まった

 耳にダゴが出来そうだ

 俺は母親の説教を方脳だけで聴きながら体を舐め回すように見渡す

 あんなに食われてたのに現代医療と言う物は素晴らしい

 傷一つない健康な体に戻っている

 「どうやら目覚めたらしいですね」

 ヨボヨボの掠れた声が聞こえた俺は声の方向に目を向けると立派な髭を蓄えた老人が立っていた

 まあ十中八九医者だろうな

 「先生目覚めましたよ」

 いや違かったらしいまあ分かってたし奥から白い白衣を来た女性が医者だって分かってたし

 「どうやら山場は何とか抜けたらしいな」

 医者は俺の体を触りながら何か異常は無いのか確認する

 起きた時から何とも無いから大丈夫だろ

 「うん、何も異常はありませんね」

 ほらね、何ともなかった

 少し胸を張りながら医者の話を聞く

 どうやら俺は一週間眠ってたらしく海岸に住んでいた占いババアに救われたらしい、あんな所に人が住んでいたのか…

 そして何も起きなかった場合退院出来るのは三日後らしい

 いやーせっかくの入学式が参加できないなが致し方ない

 俺の不注意だからなラッキーと思おう三日も休めるんだ

 俺は母親に約一時間の説教を受けた後に三日間退屈な日々を送った

 そして退院が決まった日に背伸びしながら退院だああああと心の中で叫んだ

 相変わらず薄汚い空を見上げる

 入院生活は最初は少しワクワクしていたが人間慣れるとつまらなくなる

 退屈で死にそうだったがいや死んだ方がよかったがやっとこれでお別れだ

 母親の車に乗り込みながら明日の不安を感じながらボーとした一日を過ごした


 何で俺なんかにあいつは


 次の日に成る昆虫達の羽音が目覚まし替わりに俺を覚ます

 そして時計を見てみると一時間目が始まる時間帯に成っていた

 ボーと過ごした事により夜ふかしをしてしまったのが原因だな

 食パンを咥え急いで家を飛び出し誰も居ない昇降口に急いで向かった

 大きな昇降口の扉に蝶のアンティークが装飾されている

 コテコテで芸が無いがまあそれは人の趣味だ

 俺は急いで靴を脱ぎ前日に先生から事前に聞かされている自分の数字を探す

 自分の数字が打ち込まれた下駄箱を見つけ急いで開くと

 ボトボトとミミズのような白い虫が下駄箱から溢れ出すどうやら俺の上履きを食い散らかしているらしい

 俺は白い昆虫を観察してみるどうやらこれは白蝕ぽっい

 俺は白蝕を一匹づつ持ち上げ下駄箱から投げ捨てる

 もう一匹も居なくなった事を確認したらボロボロでスカスカな上履きを下駄箱から取出し地面に置く履く

 雑に扱ったら直ぐに壊れそうな上履きを慎重に履く

 おお、空気性が良くて夏の時は涼しいな

 壊れそうな上履きを上手く操作しながら俺は急いで自分の教室に向かう

 キーコーカーコン

 どうやら一時間目が丁度終わったらしい

 クソ、この上履きが履きづらいせいだ。俺は扉を開けて教室に入る

 一瞬教室中の視線が俺に集まるしかし少し経ったら何事も無かったかのように視線を外した

 俺の席はどれだろう

 椅子に自分の番号が書かれている自分の席を探す

 あったがしかし俺は周りの席達を確認する

 なんかおかしくない

 俺の席だけ何故か謎の液体によりテロテロになっていた

 ま、いいか

 椅子を引き椅子に座るテロテロになっている椅子は少し気持ち悪いが座れない程でもない

 俺は事前に渡された授業の一致欄を確認し次の授業の教科書を机に出そうとしたら

 突然俺の顔は机に吸い込まれたかのように叩きつけられる

 ネバネバとした液体が顔面にへばりつくながら眼球を動かし俺の頭に手を置いている人物を見る

 見た事ある顔だ

 「よう、生きてたのか」

 同級生は俺の耳元に顔を近づけながら他人に聞こえないように小さく喋る

 そういえば俺はこいつに突き落とされたんだっけ

 同級生は俺の髪を掴み上げ同級生の顔が見える位置に掴み上げられた

 そして同級生は意気よいを付けてガラスに向かって俺の顔面を叩きつる

 ガラスは案外頑丈で割れることは無いがヒビは入る

 俺は顔面の痛みに倒れ込むしかしこんな俺を誰も心配しない

 いや逆に俺の事を軽蔑した目で見てくる

 俺は今日始めて登校したのになぜ初日から嫌われているんだ

 理由を聞こうと口を開こうとするが教室の扉が意気よいよく開く

 「お前ら授業の準備はしたかこれからは俺の楽しい楽しい化け学の…何やってんだお前ら…」

 と化学担当の教師が入ってきた俺を叩きつけてきた同級生は先程の嫌悪の顔とは真逆の笑顔で

 「何でもありません」

 と爽やかに挨拶した

 「お…う…そうかまあいいみんな席に座れ」

 歯切れの悪い返事をしたが教師は先程の事が何も無かったかのように授業を始めようとした

 俺は顔を擦りながらいつの間にか乾いていた自分の席に座ろうとすると

 「何でお前何かに原初が…」

 と同級生は何かを呟きながら自分の席に戻っていった

 キーコーカーコン

 放課後のチャイムが鳴る

 体の節々に痣や穴が空いたがやっと終わった

 学校生活はこんなに辛いものなのか

 俺は背伸びしながら帰宅の準備をしようとすると

 「おい」

 聞き覚えのある声が話しかけてきた

 「少しは、感情を出したらどうだ!」

 同級生は叫びながら俺の側面を蹴り上げて来たまたしても俺は倒れ込む

 これで何回目だよ

 俺は振り返り同級生を見つめる

 憎しみの感情と怒りがにじみ出た顔で見つめてくる

 そして呆けた俺に苛ついたのか俺の胸元を掴み顔に唾がかかるぐらいに引き寄せてきた

 「何でお前みたいな奴に…お前みたいな生きる気力も無い奴が原初の昆虫を手に入れられるんだよ!」

 同級生は胸元から俺を離す

 そして手首にぶら下げていた笛を取出し吹く

 すると地面から白蝕がボコボコと這い出てきた

 なるほど俺の上履きを履きづらくしたのは、こいつか

 白蝕俺の体を食い尽くそうとにじり寄ってくる

 この光景に周りの同級生達は誰も何も反応を示さない

 まあいいや白蝕は俺の体に時間を掛けて到着した白蝕は俺の皮膚を食い破ったり元々あったキズ跡から体内へと入り込む

 皮膚の一枚下から白蝕がミミズ腫れのように移動する

 このまま死ぬのかな

 漠然な死に俺は恐怖を抱くがそれ以上に無気力が勝つ

 この世界では死は日常的だ同級生多分逮捕されないだろうそれだけこの世界の政治は弱くなっている   

 この学校だって公共の物ではなくこの街の金持ちが運営している施設だ

 はるか昔の世界は政治は今より強い力を持っていたらしいがしかし今では人一人逮捕できないそれだけ力が無い

 金持ちが経営している自衛団もあるがあいにく俺を殺そうとする同級生はさっきからちょくちょく出ているこの街の金持ちの息子だ

 多分もみ消すだろう、しかし本当に痛いな

 本来は木材などを食う昆虫だから人間を食うのは得意じゃないらしい

 まあこれも俺苦しめるられるからいいんだと思うが

 しかし本当に死ぬのか…漠然に日常的にやって来る死の感覚によって走馬灯が作り出される

 過去にあった出来事が脳内で映画のようにゆっくりと上映される

 親の笑顔に同級生と笑いあった日々子供時代の黒歴史に初めて出来た彼女…

 もしあの時に戻れるなら…もしあの時に…

 不意に一つの映像が脳内を支配する

 「生きて…死のうとしないでいつか…会えると思うからだから死のうとしないで…笑顔でいて…ね…」

 彼女の最後は笑顔だったと同い年の彼女何で俺なんかに惚れたんだろう何で俺なんかと付き合おうと…何で最後は俺を憎まないで笑顔でまた会えるって言ったんだろう何で俺は忘れて居たんだろう

 俺は首元にぶら下げていた笛を激痛の中で取り出す

 そして俺は作りなれていない久しぶりの笑顔を作る

 その行動に面を食らったのだろう同級生は一旦フリーズする

 そして俺は意気よいよく笛を吹く彼女から送られた笛を笑顔で…涙を抑えながら吹く

 地面は揺れる風は振動する白蝕は俺が笛を吹いた事により恐怖したのか俺の体から這い出る

 そして地面から巨大なムカデ達が現れ、方伏線を描くように…周りにいる同級生たちを避けてムカデ達は俺を守る用に囲う

 「あれが原初の一つのムカデ…」

 周りに居る同級生達が俺の使う昆虫を見てどよどよと驚く

 原初…昔この世界は虫に支配されていたしかし十二人の人達が昆虫を使いこの世界にまた人間の支配を確立させた

 その時に使われていた昆虫の一種類がこのムカデ達だ

 「はぁはぁはぁ」

 ムカデ達に寄りかかりながら俺は息を整える

 その光景に同級生は苦虫を潰したかのような顔を作る

 俺ももしあいつの立場だったら殺したくもなるでも俺は彼女に生きてほしいと頼まれた笑顔でいて欲しいと頼まれた笑顔で過ごすのは叶えることは難しいと思うがだが生きる事は頑張ろうと思うから

 俺はおぼつかない足で地面に立つ

 悪く思うなよ俺は死ねなくなった

 ムカデ達が俺の周りを旋回し守る用に囲うムカデ達の隙間からは同級生達が噂する姿と握りこぶしを血が出るまで握る同級生が見えていた

 「そうかよ、お前は生きる事に決めたんだな…遅いんだよ!」

 同級生は俺の瞳を見て俺が言おうと思う事を読み取った

 「今更生きようなんて虫が良すぎる!…死んで詫びろよ屍が」

 俺は屍じゃないし確かに虫が良すぎるかもなでも俺は約束したんだ思い出したんだ…

 「思い出しただぁ…じゃあその約束ってのは俺の妹との約束なのか…」

 ああ、そうだ

 同級生は唇を噛むそして鋭い目つきを俺に向ける

 「例え…例え妹と生きると約束しようとも妹がお前を許そうとも俺はそれでも許せねえ、俺の心の底にある化け物が許さないと叫ぶんだ」

 …ガンデ…

 俺は久しぶりに同級生の名前を心の中で呟く

 ずっと逃げてきたツケが今ここでやってきたんだ

 俺はガンデを傷つけたくないだがあいつは俺を殺しに来る俺は死ぬ訳にはいかない

 俺は覚悟を決めてガンデに向かって拳を構える

 久しぶりの喧嘩だな

 「ああ、そうだな、だが昔の仲良しこよしの喧嘩じゃない」

 「これは」そうこれは「「殺し合いだ」」

 俺はムカデ達をガンデに飛ばす

 大きな旋風を巻き上げムカデの弾丸がガンデに向かって打ち込まれた

 ひらひらと白く雪解けのような蝶が飛ぶ

 ムカデ達は恐れを知らずにガンデに向かって飛び込むがガンデには当たらない

 ガンデがいた場所には雪の結晶の様な蝶達が優雅に飛んでいるだけだ

 突如として背中に痛みが走る蹴られた衝撃を使い体を後ろに向けるために回転する

 視線を向けると蝶が飛びガンデが蹴りを入れた後が映し出されていたが蜃気楼のようにひらひらとガンデの体は消えていった

 蝶…そう言えば白蝕は何処だ?

 俺は辺りを見渡すと地面に何かの抜け殻が落ちていた

 なるほど、あいつが操る昆虫は白蝕じゃなくこの蝶が本命か

 ひらひらと幻想的に飛び続ける蝶達は甘い匂いと共に鱗粉を飛ばす

 この鱗粉で姿を隠しているのか、じゃあこれはどうだ

 周りに居る同級生達が離れている事を確認するそして俺はムカデ達を呼び寄せ自分の周りを旋回させる

 突風が起きて砂が上に巻き上げられる

 ムカデ達よっ俺の周りは今竜巻を作り出したのだ

 鱗粉が竜巻により飛び散る

 これでさっき見たいな不意打ちは効かない

 周りも今は風の壁が作られているこれで簡単に近づくことは出来ないだろう

 腹に突如として痛みが走る

 馬鹿な!?

 俺はムカデを呼び寄せてムカデの頭に手をタイミング良く手を置き前転して飛び乗る

 そして攻撃を食らった場所から素早く移動する

 螺旋状にムカデは空に上がる

 辺りを見渡せる様になりガンデを上空から探すしかしガンデの姿は見えない

 鱗粉を飛ばしても姿が見えなつまりあいつの昆虫は自分を隠すわけではないのか

 何回も攻撃を食らったことにより俺は一瞬の殺気を読み取り頭に十字を作り突如として現れた足蹴りを防御する

 クソ、こんなとこまで…瞬間移動でもしているのか?

 しかし邪魔だな

 俺は下を眺める同級生達は離れては居るが避難はしていないこれじゃあ存分にムカデを使えない…まて数人何処を向いて

 何かを発見した瞬間体が中を舞うどうやら側面を蹴られムカデから飛び出したらしい

 俺の体はバランスを崩し内臓が浮く

 気持ち悪い

 俺は重力を感じ取りながら下からムカデを呼ぶ

 ムカデは意気よいよく上がる

 俺は呼び寄せたムカデを使いムカデの背に足を置きブレーキ掛けながら地面に滑り落ちる

 さてと何となくあいつの攻撃方法が分かった。それにあいつは冷静じゃないなこれなら勝てる

 首を鳴らしムカデ達を周りに呼び寄せる

 ムカデ達は俺の体を覆い尽くす様に重なり合う

 「な、なんだよあれ」

 同級生達が俺を指差し恐怖する当たり前だ何故ならムカデ達は共食いをしているのだから

 モゾモゾと蠱毒の様に強い物に弱い物を食べさせる

 その光景は普通の人なら恐怖するだろうしかもその中心にいればなおさらだだが俺は一度生を諦めた人間だこれくらい何とも無い

 そして一匹だけのムカデが残った

 空気は腐り毒を纏うそして先程のムカデよりも巨大に成っていた

 周りに人が居るからこれだけだがだがこれで十分だ

 ムカデの毒により周りの蝶達は死滅する

 その毒を俺は吸い込む痛くむせ返りそうになるがだが俺には抗体が有る、平気だ

 俺は指先を誰も居ない所に向ける、これが今の本気だ

 そしてムカデは俺の指さした方向に毒を纏いながら狂ったように前進する

 あいつの蝶の能力は鱗粉を吸わせて幻覚を与える、俺が上空にいた時数人の人間が心配そうに同じ方向を見ていた。

 そこには何も居ないように俺は見えていたが何人かが同じ方向を見ているこれは偶然なんかじゃ無くて何かがある筈だ

 俺の推測が正しければあいつは移動なんかしていないあそこでただ突っ立てるだけだ

 攻撃を食らったのはあいつが起こした幻覚だ人間思い込むとどんな物も食らったように感じもんだ

 これが俺が出した答えだ、どうだあってるだろ

 俺は後ろを振り向くするとそこにはガンデが居た幻覚ではない何故なら鱗粉を毒で壊したからな

 ガンデは驚いた顔する、そうさあの大ムカデは囮さ

 大ムカデは放物線を描くように上に上がり爆発する

 そして周りに居た蝶達は死滅するこれでもう隠れる事は出来ないな

 だがそれがなんだって言うんだと言いたげにガンデは攻撃を仕掛ける

 だが俺は予想はしていたガンデに右蹴りを俺は避ける様に地面にしゃがむ

 ガンデは驚いた顔をしている冷静を欠いた時いつもこいつは右蹴りを入れてくる

 ガンデ俺が冷静を欠いているお前に負けたことあったか

 俺が避けた事により居場所を失った右足は中を舞って停止している俺は両手を使い右足を意気よいよく持ち上げる

 俺の攻撃で宙返りをしているガンデに小柄で長いムカデを地面から呼び寄せる

 小柄なムカデはバランスを崩しているガンデの体に蛇のように巻き付き拘束する

 「ぐぁ!」

 地面に落下した事による衝撃で痛みを我慢する声が漏れる

 これで終わりだ

 俺は瞳でガンデに勝利宣言をする

 しかしガンデは諦めてはいなかった

 諦めろ今俺を攻撃しようとも直様お前に毒を食らわせることが出来る

 俺はガンデに諦めるように説得するがしかしガンデの瞳には闘志が燃え続けている

 「俺は諦め無い、俺はお前を殺すこの命が終わっても!」

 俺の頭の上に右足の幻影が生まれるこのまま脳天を貫くつもりだろ…馬鹿が…

 俺はガンデの幻影による攻撃を俺は何も防御をしなず素直に受ける

 「な、何故だ」

 俺の行動に驚いたらしいのか呆気ない声を出す

 頭から血が垂れてくるしとても痛いだが

 「忘れたのか俺は頑丈だって事を」

 久しぶりに声を出すいつぶりだろうか自分を許せなくなった時からか自分を殺したくなった時からかしかしそんな事はどうでもいい

 「何で俺を殺さない何で俺の攻撃を防御しない」

 ガンデは困惑した顔を俺に向ける

 そんな決まっているじゃないか

 「やっぱ俺はお前を傷つけたく無い」

 ただこれだけの単純な理由だ

 俺の答えに納得行かないの歯を噛み締め叫ぶ

 「殺されるかもしれないんだぞ」

 苦虫噛み続ける様な声を出すしかし俺はやっぱり傷つけたく無いから

 俺の考えを読み取ったのか負けを認めたかのように項垂れ地面に伏す

 「俺はお前を許す事は出来ない」

 許さなくて大丈夫だ

 「俺はこれから何回もお前の命を狙うと思う」

 ああ、いいさ俺は案外頑丈だ

 「それなのに何でお前はそんなに優しくするんだ」 

 お前が俺を救ったからだ

 「そんな昔の事で…」

 いいや最近の事だ

 俺の考えにを読みっとて分かったのか顔面を俺の反対側に向ける

 「気づいていたのか」

 ああ、気づいていたさ俺を海から救い出したのは海岸に住んでいるババアじゃなくてお前だとな

 ガンデは電源を失った機械の様に沈黙する

 甘かったなあんな所に人が住んでは居なかったぞ昨日俺は海岸に行ったが人っ子一人居なかった

 それにあの病院はお前の父親が運営している所だろ

 俺をあんなに完璧に治すのには莫大の金が掛かるそれなのに治療費はタダだ

 しかもさっきの攻撃で俺の脳天を貫く事も出来たはずだ

 だから俺はお前を殺さない

 俺の考えを読み取ったガンデは恥ずかしそうに口を開く

 「笑えるよな、俺はお前を殺したいのに心の底から殺したいはずなのになのに思い出すんだよ三人で楽しく遊んだ記憶が…思い出すんだよ…」

 声が震える地面には雨が降っていないのにポツポツと水滴が落ちる跡が残っていた

 「だけど俺はいつかお前を本気で殺そうと思うだろう…それでもお前は俺を生かすのか」

 ああ、だって

 「殺して後悔するより、殺されて後悔する方がマシだからな」

 俺をムカデの拘束を外す地面に伏せるガンデに手を差し出す

 ガンデは俺を見上げそして顔を伏せながら俺の手を受け取った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

弱蟲のムカデは… 赤青黄 @kakikuke098

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ