第五者・護衛対象
「あ、お前は!」
「おや?面識があるのかい?」
「はい、彼とはクラスメイトです」
氷室の問に女子生徒はすぐに返答する。彼女の返事に氷室は手を組みながら嬉しそうに話す。
「なんだ!それなら手間が省ける。彼女の名は『血桜琴音(あけばな ことね)』これから君のボディーガードいわば護衛役となる子だお互い仲良くやっていこう!」
「え?ま、まってください!」
「またか、どうしたんだ?彼女のことが理解できないのか?」
「いえ、何故ここにいるのかという疑問もありますが、なぜ彼女が俺の護衛役なんですか?」
「当たり前だろう、アイラくんとミラくんでは先程のようにすぐに駆けつけれるわけではない。学校や登下校では隙間がうまれる、だから彼女に君の身を守って貰うんだ」
「女の子に守って貰うなんて…」
「弱いくせに、変なプライド持ってんじゃねーぞ?ガキが」
納得のいかない弥稜に釘を刺すアイラ。
「俺は弱くない!格闘くらいできる!」
弥稜は彼女の発言にムッとし楯突く。
「いや、弱いこの中でもダントツでな!相手は魔術士だ。俺たちが駆けつけなかったら今頃、死んでたんだぞ!」
「…くっ!」
弥稜に決定打となる一言を投げつけるアイラに続けて釘を刺す氷室。
「異論はあるかい?弥稜くん」
「…わかりました」
「よし、では解散!あ、それとこれから君は月火団の護衛対象となる自衛のためにも基礎魔術は琴音かエリナに教えてもらいなさい」
氷室の話が終わり部屋を出ると師匠に連れられ屋敷を後にする。琴音とかいうやつと一緒に師匠の車に乗った。
エリナがアクセルを踏みまたもや壁に突撃したと思ったら、ビルの地下駐車場に出た。車は赤い夕日に照らされた道路を走る。
「…師匠、さっきはごめん…その…」
「いいわ、忘れましょ。だいたい何も教えなかった私にも非はあるもの、琴音もこれから弥稜のことよろしくね」
安心させるように言いながら、エリナは言葉を詰まらせながら話す弥稜の頭に手を置き、白黒の髪を優しく撫でる。その感覚を心地よく思いかけたところでハッと我に返り、弥稜がエリナの腕を掴んで止める。
「はい、わかりました」
後部座席にいる琴音は感情のない声で返す。先程からの彼女の喋り方はロボットを連想させる。
しばらくして住宅街に入り自宅のマンションに到着する。
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